コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.132 )
- 日時: 2015/04/02 23:11
- 名前: Garnet (ID: CWUfn4LZ)
柔らかな月明かりが差し込む窓辺で、スクールバッグに 静かに袋を滑り込ませた。
ルームメイトが目を覚ました気配はない。
「本当に、それでいいのか?」
音も無くドアが開き、低く落ち着いた声が聞こえた。
隣の部屋の、久田見 俊也(くたみ としや)だ。
闇に溶けてしまいそうな 烏の濡れ羽色の髪から、シャンプーの匂いが漂ってくる。
「あぁ。それに、守りたい『女の子』は 別にいるからな。」
「フン…どーせ、苺髪の妖精だろう?」
「なっ———」
同い年だとは思えないほどのオーラを放つ俊也は、闇と同化するように 部屋を出て行った。
「チェッ、格好付けて言ったつもりだったのに…」
それにしても、苺髪、とは…。
実際 そんな言葉があるのかは知らないが、上手く言うもんだ。
こういう人を、キザというのだろうか。
少し違う気もするが。
このメッセージは、早めに伝えたい。
だから、佐藤からのバレンタインチョコのお返しは、明日渡すことにした。
確かに俺らは たったの13歳だけど、後悔はしたくないから。
自分の思う道を、歩いて行きたいから。
———1ヶ月後まで、時間をくれないか?
その日に渡す物で、俺も…気持ちを示す。
そして、今日がやってきた。
いつも 佐藤は早く学校に来るのを知っていたので、俺も 今日だけ早く来た。
どう反応されるか心配だったけど、そんな心配は必要無かったようだ。
中身がクッキーだと分かった途端、彼女は頬を赤く染め、飛びきりの笑顔を見せた。
「そっか。ありがとう、拓。」
「え?」
「マシュマロになったらどうしようって、ずっと考えてたんだから。」
「そ、そんな酷いこと、するワケねーだろ?!」
ありがとね、と 佐藤は言い、早速クッキーを食べ始めた。
「おいおい、今食べるのか?」
「朝ご飯食べてないからさ、いいでしょ?ね?」
「あ、あぁ。秘密…だな。俺らだけの。」
「ふふっ」
これからも友達でいよう
これが、俺の答え。
「…なぁ、佐藤。……里香、って呼んで、いいか?」
FIN