コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.136 )
- 日時: 2015/08/22 00:35
- 名前: Garnet (ID: mJV9X4jr)
「(自主規制※ケ/セ/ラセ/ラ、Aメロ?)」
テレビから、懐かしい あの曲が流れ出した。
まだ前奏だったから 歌ってみたら、すらすらと歌詞が出てきて。
「(自主規制※ケ/セ/ラセ/ラ、サビ一部)」
次を言おうとしたら、歌詩の代わりに 涙が零れ落ちた。
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.137 )
- 日時: 2015/04/05 21:13
- 名前: Garnet (ID: pRgDfQi/)
私と姉は、父親違いの姉妹。
ちょっぴり歳があるお母さんと、3つ年上の姉と、私、3人で暮らしていた。
お父さんがどうなったのか、詳しい事は 2人とも知らない。聞かされてもいない。
そんな、訳ありなのに訳を知らない 私達だけど、仲は良かったと思ってる。
あの歌を覚えたのは、そういうことが積み重なったからなのだと、
今は 感謝までできるようになった。
———恵理おかえ……え?!
玄関のドアを開くと、私を待ち構えていた エプロン姿の姉が、翡翠の目を大きく見開いた。
———お姉ちゃあんっ…
———ちょっと、どうしたの?!
酷い顔になっちゃってるじゃない!
小学生の頃、私は よく男の子にいじめられていた。
母にも姉にも気付かれたくなくて、必死に隠そうともしていた。
けれどその日は、いつもより もっと酷い事をされて。
遂にばれた。
———とりあえず お湯で絞ったタオル…っ
お姉ちゃんは、慌てて台所に走っていった。
それを見て、玄関に へなへなと座り込むと、涙がぼろぼろ溢れた。
恨めしい。
皆より薄くて明るい、この瞳が。
皆と違って明るい色の、この髪が。
———恵理。
優しい声に顔を上げると、ふわりと お姉ちゃんに引き寄せられた。
———お、お姉ちゃん…?
———辛かったのよね、痛かったのよね…
視界には、癖っぽい 赤みがかった茶髪。
———だ、ダメだよ。私、汚いし…。
そう言って離れようとすると、お姉ちゃんは 否定も肯定もせずに、
顔や腕に付いた汚れを拭い始めた。
———汚くなんか、ないわ。
確かに、今はあちこち汚れているけどね、心は、誰よりも綺麗なんだから。
———そ…んな…
お姉ちゃんの方が、綺麗だもん!
———嫌ねぇ、もう。
私なんか、ドロッドロよ。
———え?
———私も、小学生の時 酷い言葉をかけられてね。悔しくて悔しくて、
『黙れチビ!』とか、言ってたの。
ほら、私達 結構背が高いし。皆がちっちゃく見えない?
それで、『じゃあお前はデカだ!』なんて言い返されたり。
遠い昔を見つめるような顔をして、お姉ちゃんは自嘲気味に笑うとこう言った。
———まあ、結局…くだらないことこの上ないって、お互いに気が付いたの。
この見た目が羨ましかったんだ、って、後で謝られた時に言われたし、
私も、1度でいいから真っ黒な髪にしてみたいな〜って思ってたし…
みんな、他人が良く見えるものよ。
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.138 )
- 日時: 2015/08/22 00:40
- 名前: Garnet (ID: mJV9X4jr)
———大分落ちたかしら。
お姉ちゃんは そう言ってタオルを畳み、よしっ、と頷いた。
———ありがと。
私の呟いた言葉は、空気に溶けた。
———恵理。これからも、こういうことは 少なからずあと2回、あると思いなさい。
———中学校と、高校?
———そうね。
でも、そう 気に病む必要も無いわよ。
未来なんて、どうにでもなる。なるようになるわ…
———え?
その時、ふと哀しげな顔をしたのを 私は見逃さなかった。
でも、何も言えなかった。
———何でも無いっ!
…さ、ご飯にしましょ!今日は 恵理の大好きなハンバーグよ!
———本当?やったー!!
お姉ちゃんは さりげなく私の荷物を持ち、その前に手洗いしてね、と付け足した。
前を歩いていく後ろ姿が、何だか とても大人びて見えた気がした。
彼女にとってあの言葉は 重たいものだったのだろうけど、
あの時 そんな考えは、頭の隅にさえ、微塵も無かった。
その日の記憶で色濃く残っているものが、もう1つある。
そう、姉があの歌を歌ったこと。
晩ご飯を食べて お風呂から出た後、起きていられるまでお母さんを待っていようと、
私達は 家の前に出た。
あんまり退屈なので、ガードレールと上に座ったりして。
———ねぇ、お姉ちゃん。
———何?
———お姉ちゃんは、どうしてそんなに…ポジティブでいられるの?
———ポジティブ、ね…。
お姉ちゃんはそう言うと、空を見上げて歌い始めた。
———(自主規制※ケ/セ/ラセ/ラ、1番)
あの歌声と星空が響きあっているように感じて 綺麗だと思ったけど、ちょっと 寒気がした。
目に見えない力を、感じた気がした。
———その歌、聴いたことあるかも。
———そりゃそうよ。有名な歌だもの。
『Que sera,sera』っていうの。
歌詞の意味は、解る?
———うん。
- Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.139 )
- 日時: 2015/08/22 00:44
- 名前: Garnet (ID: mJV9X4jr)
……(念のため自主規制※ケ/セ/ラセ/ラ、1番、作者による日本語訳)
幼いながらも、理解はできた。
環境の影響もあり、他人よりは 英語を使うことに慣れていたからなのかもしれない。
あの後結局、お母さんは21時を過ぎても帰って来なくて、
私達は二人で眠りについた。
普段は無愛想な母が、その寝顔に微笑みながらハンバーグを食べていたとは、誰も想像しなかったし、
朝になって 川の字で寝ていたことに気が付いたときは、 飛び上がるほどびっくりした。