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Re: COSMOS<ロック終了(*^^*)> ( No.142 )
日時: 2015/08/22 00:53
名前: Garnet (ID: mJV9X4jr)

ぽろりと零れた涙がジーンズに染み込んだのに気が付いて、我に帰った。
こんなに短い時間で、あんなに思い出したんだ。

思考を巡らせると同時に、誰かの視線を感じた。


「「(自主規制※ケ/セ/ラセ/ラ2番、サビ前まで)」」


テレビから聞こえる歌声と、“誰か”の歌声がシンクロした。
幼くて高くて、でも 透き通っていて滑らかな———

「……?!」

そこにいたのは、本当に 姉にそっくりの…

「奈苗ちゃん…」

私が慌てて涙を拭うと、彼女はニッコリと笑った。


「(自主規制※ケ/セ/ラセ/ラ、サビ)」


歌はまだ続いていたけど、奈苗ちゃんの声しか、耳に入らなかった。

「どうしたの…?それに、この歌知ってるの??」
「歌の秘密は教えない。でも、恵理さんに話しておきたいことがあって来たの。」
「あぁ、うん。」

パジャマ姿の歌姫は ぱたぱたと走り寄り、私の隣に座った。

「私が、四つ葉を卒園した後のこと。」
「…そうね。」
「黒江さんが言ってた通り、友だちは皆、受験するんだって。
 私は 公立でもどっちでもいいと思ってる。でも…」
「ん?」
「そんなに、お金使えないよ……」

翡翠の瞳に、みるみる涙が溜まっていく。

「そんなこと、気にしなくていいのよ!
 奈苗ちゃんが 学びたい、って心からおもうなら!」
「でも…っ。」
「大丈夫!!お金のことなら、あの方の———あ。」

言いそうになって、口をつぐんだ。
奈苗ちゃんが 微かに眉を寄せたのが、前髪の隙間から覗いた。