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Re: COSMOS ( No.169 )
日時: 2015/04/22 20:28
名前: Garnet (ID: u6EedID4)

「あっ!奈苗ちゃんに、恵理さん!!」

美星幼稚園に着くと、早速 陽菜ちゃんが駆け寄って来た。
奥のほうで、数人の女の人がチラチラと見てくる。


「あの子っていつも、お母さん、って、呼ばないよね。」

「えー?知らなかったの?陽菜ちゃんって、個人経営の養護施設の子なのよ?」

「じゃあ もしかして、あの女の子って、四つ葉に通ってるって噂の?」

「失礼だけど、そんなお金があるのね…。知らなかったわ。」


たまに こんな会話を耳にするけど、気にしたって仕方がない。

「おかえり、陽菜ちゃん。どうだった?幼稚園。」
「ただいまー!今日はね…………」

陽菜ちゃんが恵理さんに抱きついて、『当たり前の』光景を見せた。
不意に、昔のほうの母親を思い出す。


ーーーほら、さっさと人参切りなさい!

ん、人参?何でニンジン??
……と、それは どうでもいいんだけど。

甘くなかった事は確かだ。
いくら妹だったとはいえ、家事以外 何の取り柄も無い私に何時も腹を立てていた。
お姉ちゃんもお姉ちゃんで、都内で 女が行ける一番の学校を目指して、勉強ばかり。
だから、あの頃大好きだったのは、お父さんだった。

お母さんとの思い出なんて、何処かに行ってしまった。

そんな母親だったけど、今は 誰かのご先祖様になっているかもしれないんだ。

せめて、お父さんの名前だけでも思い出せればなぁ。
お墓は代々、同じ所だというのは知ってるし…
もしかしたら、私の遺骨も……って! 何て恐ろしいことを!!


なんて考えてたら。

「どうしたの?奈苗ちゃん。顔が怖くなってる…」

と、陽菜ちゃんに 真顔で言われてしまった。