コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: COSMOS ( No.37 )
- 日時: 2015/04/23 17:43
- 名前: Garnet (ID: J/brDdUE)
「期待に応えたいの?」
「違う」
「じゃあ…探すんだ…?」
恐るおそる奈苗ちゃんを見ると、何故か 満面の笑みが、そこにあった。
透きとおるように白い肌に、改めて気づかされる。
「やっぱり、知美ちゃんだけだよ。」
え?と聞き返そうとしたけど、その時には既に 彼女は踵を返していた。
今のは、思いやり?
本心?
少し困惑した。
———君、本当は何歳なの?
———100歳!………嘘。
いつだったか、奈苗ちゃんが桑野さんに話しかけられた時、珍しく冗談を言っていたのを思い出した。
私には、それがなぜなのか、すぐに分かった。
目には目を歯には歯を。
自分達のズルさを棚に上げるのなら、こっちにだって策があるんだ。
あの時の ちょっと不気味な作り笑いが、そう物語る。
私は 奈苗ちゃんが見えなくなったのを確認し、
袋を握りしめてみんなの所に向かって走り出した。
その脳裏に、昔出逢った老婆の姿を霞めて…
———お婆さん、何か用?
私が3歳の時。
外で遊んでいたら、お婆さんが一人 アパートの前に立っていた。
腰が曲がっていて、色白の、少し怖い人。
ポーカーフェイスって、いうのかな。
———お前さんにな。
ちょっと話しておきたいことがあったんだよ。
———え?
———今すぐ、家を出て行きなさい。
———な、何で?!
そんな事したら、ママが怒っちゃうよ!
いきなり言われたんだもの。
ビックリしちゃった。
———なぜだ?
1週間も平気で家を空けるような親を、そんなに怖がる必要はないだろう。
次に母親が、5日帰って来ないようなら、すぐに捨て去りなさい。
いいか、5日だ。
お婆さんはそう言って、私に小さな紙を握らせた。
薄い色の瞳が、より一層 私を怖がらせた。
———わかったよ…
そうして5日後、
私は お婆さんの言った通りに家を出た。
土砂降りの中、
紙に親切に示された、『此処』に辿り着いた。