コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: COSMOS ( No.71 )
- 日時: 2015/04/25 20:15
- 名前: Garnet (ID: z5Z4HjE0)
「ふう…」
溜息を1つ。
二段ベッドの上で アルバムを開いた。
「拓センパイ、ねぇ…」
なっちと拓とウチが 3人で並んで笑っている。
確かに、似てるのかも…しれないね…
「蘭ちゃん」
「うわ!誰や?!」
いきなり 近くから声がしたので、反射的にアルバムを閉じてしまった。
きょろきょろと辺りを見回すと、梯子から 申し訳なさそうにウチを見つめる 奈苗ちゃんがいる。
「なんだ 奈苗ちゃんか…。どうしたん?このアホ蘭に、何か用?」
「アホ蘭って…。
ちょっと、拓にーちゃんから伝言があってね。」
「拓からぁ?」
奈苗ちゃんは梯子を上り切り、布団の上を ごそごそと歩いてきた。
話を聞くと、拓の携帯電話に なっちからメールが届いたのだというらしい。
「で、なっちは何て?」
「えっと…
『今日さり気なく あの時のこと謝ろうとしたんだけど、呆気なくかわされちゃった。
当の本人が今、また騒ぎを起こして 街の病院で世話になってるから…
お見舞いに行きたかったら 須賀総合病院に来てね。お母さんも、拓と話したいって言ってる。』
…だって。
何の話なのか、何で伝えるように言われたのか よく分からないけど…
私も できる限りのことは、したいから…
困ったときは、いつでも相談に乗るよ?」
ウチにとっては超人的な記憶力だ。
それなのに、さらに ウチを想う、優しい気遣い。
「奈苗ちゃあん…」
相手が3歳だということもすっかり忘れ、流れてくる涙を癒すように、奈苗ちゃんに身を任せた。
「異母…姉弟?」
「そうなん。3人とも…な。」
「さ、3人!!」
ウチの言葉に驚きを隠せない 奈苗ちゃん。
それもそのはず。
なっちとウチと拓は…全員が 血の繋がった者同士なんだから。
「でも…なんで 夏海さんは、その事を知らないの?父親は同じなんでしょう?」
奈苗ちゃんは、例の写真を見つめながら そう言った。
「そう思うやん、普通。
でもな…あの父親————」
「え?」
「アル中やねん———」
奈苗ちゃんが、ふと息を詰めた。