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Re: COSMOS ( No.98 )
日時: 2015/02/28 16:16
名前: Garnet (ID: v/O9fUEE)

「なあ…やっぱ オレ、後悔してるんだ。
 何で…何であの時止めなかったんだろうって…
 もし止めてたら……例え、半分は 流れてる血の違う者でも…
 最低な父親でも…
 姉弟に なれたんだろ…?
 幸せに、なれたんだろ?」

良樹が 前を向いたまま、哀しそうに言った。

因みに、コイツも知らないんだ。
オレの姉ちゃんが、もう一人いるってこと。
ずーっと…一緒だったのにな…
人は、そういうものだ。
近くにある幸せに、気がつかない。近くにある真実に、気がつけない。

何て残酷なんだ。

「拓にーちゃん」

前のほうから声がした。

「あ…」

良樹は 彼女に気がつき、目を見開いた。

赤みがかった、艶のある 癖っぽい茶髪…
小さな身体…
透き通るような白い肌…
何でも見透かされてしまいそうな、翡翠の瞳…

紛れもなく 奈苗だった。

「何だ、どうした?」
「蘭ちゃん達がね、ランニングの途中で私を見つけて 声を掛けてくれたの。」
「そうか。」
「『寄り道せんか、見といて』って言われて。
 …あ、同級生さん?はじめまして。奈苗です。」

奈苗はそう言うと、良樹に向かってお辞儀した。

「あ、どど、どうも!良樹っていいます。」

良樹も、バッと音が出そうなくらいの勢いで頭を下げた。