PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.1 )
- 日時: 2014/12/25 16:05
- 名前: 優斗 (ID: aAxL6dTk)
その男は履き慣れた足袋を脱ぎ捨て、黒い数珠をジーパン のポケットに入れた。
珈琲の臭いが奥にある何かの臭いと混ざり、今にも吐きそうな臭いが立ち込める。男は裏が赤いマントを翻し鈴の音が鳴った扉へ目をやった。
「いらっしゃいませ。」
にっこり微笑んだ男。
扉の前に立つ、俗に言うギャルという感じのアホそうな娘。泣きそうな顔で写真を男の前につきだした。
「おや…」
「ウチのじいちゃん。邪魔なんだけど、引き取ってくれない?」
ボロボロの写真の奥で微笑む白髪の男性。顔によく似合う丸い眼鏡と、この時代ににつかない黒い着物。写 真がモノクロだから黒く見えるのかはさておき、
「…あの有名な方の魂を頂けるとは…嬉しいです。」
と、続け男は写真を奥の臭いのする部屋へ手早く置きに消えた。戻り、泣きそうな顔をした女に塩を手渡し、見送った。
この男こそ獄寺啓(ゴクデラ サトル)であった。烏の様に黒い髪と形見のマントが怪しい雰囲気を出す。
本に埋もれたこの部屋で何をしているのだろうか。
それを知る人間は誰一人といない。
PR