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Re: 獄寺啓という男。 ( No.2 )
日時: 2014/12/25 16:17
名前: 優斗 (ID: Fbf8udBF)






「私見たんです!涙僕炉が似合う黒い男性を!」

女は声を荒げて剥げた頭のおやじに突っ掛かる。

彼女は君島葵(キミシマ アオイ)。
清楚な服装が似合う美人であるが、かなりの重度の干物女であった。

「だからって遅刻はよくないでしょう?」
「はい!」
「そんな元気よく返事されても困るから。」

軽く項垂れ、葵は椅子に深く座った。

——やっと兄に会えたと思ったのに…

あのとき、呼び止めておけばという後悔が頭をよぎった。 前に置かれたパソコンを見つめて、溜め息をついた。



その日の昼はふと朝の出来事を思い出した。寒い朝だった。

昼も負けじと寒く、近くのスーパーの肉マンを買い、一口かじる。喉から お腹へ通る暖かみに感謝をし、スーパーの中を見ていた。

——綺麗な人だ。

目に写った長身の男の人は髪をかきあげ、こちらを見た。気付かれただろうか。

すると、男の人は自分に微笑みかける。急に恥ずかしくなったが、絵に書いた様 な美しさだった。完全に見惚れてしまっていると、自分で感じる程だ。

「最近、色んな人に出会うな。」

独り言を呟き、スマホに目を落とした。 ゲームを起動すると背後から妙な気配を感じた。その気配は声になり、自分にかかる。

「すみません。」
「うわっ!」

思わず驚いた葵に男はキョトンと首を傾げる。 そして、スマホを指差すと口を開いた。

「その箱、なんですか?凄いですね。」
「えっ?」

どう説明していいのやら。

迷っていると今度は上から言葉が降ってきた。

「探しましたよ。啓さん。」
「おお、澤(タク)。よかった。探したぞ。」

上を見上げるとさっき微笑みかけてくれたあの男の人。啓という名の者と知り合いのようだ。葵は安心し、胸を撫で下ろした。

紅茶や珈琲の臭いがするお洒落な服とマントをを着こなす二人はどこか胡散臭かったが、楽しそうな人だ。二人だけをを見ていると、どこか違う世界 へ巻き込まれた様に思えた。

葵が二人に見入っていると、瞬きをした瞬間、二人はいつの間にかいなくなっていた。

——おかしな人だ。

——また、会える気がする。

そう思い、その場を去った。