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Re: 獄寺啓という男。 ( No.4 )
日時: 2014/12/25 19:51
名前: 捨駒 (ID: aW5Ed34M)

君島葵は動かない。

滅多な事では動かないのが彼女である。休みの日だっ た彼女が思い立って夜道を散歩しているのは、眠れなかったという理由から始まる。

どこか胸がザワつくような不思議な感覚に襲われた葵は眠れない。

都会で星が瞬くのは不自然だと思いつつも、通勤路を歩いていく。通勤路を歩いていくと見慣れない道に到着した。

——何かがおかしい…

辺りはいつの間にか黒くなり、石を積み上げた塔が町並みに連なっている。静寂という言葉が一番似合う光景だ。

——あ…あれ?

歩く足を止めた。

前にはこの前見た少年と綺麗な男の人。

「啓さん?」

名前を呼ばれ、少年は小さく会釈をした。 その瞬間に大きな爆発音が啓の右側から聞こえる。

「チッ、外したぜ。」
「当たり前だ…啓さんには降れさせねェ…」

兄によく似た男と鞭を構える太郎は激しく宙で攻撃をぶつけ合う。

「…なんで人間がここにいんのよ。」
「キャッ!」
「それもキャラ作り?やめて、ゲロが出ちゃうわ。」

後ろから聞こえた声と影と共に宙に浮かび上がる。影は見晴らしのいいところまで来るとその姿を表した。

「見なさい。あの化け物を。」
「化け物…?兄のことですか?」

女は真太郎の形をした化け物と葵に交互に顔を向けた。

「はぁ?!」

大声が真太郎の耳に届いたのか、こちらを睨みつけショットガンを放った。
花子はすかさずナイフを取り出し、音速で飛ぶ弾丸を弾き返す。

「聞いてないわよ!早く始末しないと!」

屋根に葵を乗せ、下に落ち、太郎の鞭を奪い取る。

「返せ!アイツは俺の獲物だ!」
「うっさいわね!アンタのその首、ヤフオクで売り飛ばすわよ!」

意味のわからない罵声を浴びせている間、相手が怯んだ隙に鞭を体に素早く打ち込んだ。驚きながら無惨にも朽ち果て、目を開いたまま地面に強く叩き付けられた。

言葉を失う葵。
目の前で二回も実の兄が殺されたのだ。

「…また貴方ですか。安芸彦の旦那。」
「そう。よく分かったな。流石に気が付かれないと思ったけど…ね?お嬢ちゃん。」

耳元で囁かれ、肩を跳ねさせると後ろには男の姿が。

「お嬢ちゃん人間?なら、死んだ後は俺様に魂を提供してね、是非とも地獄で待ってるよ。」

差し出された名刺に書かれた文字は紛れもなく人間の名だった。

「賀喜…安芸彦?」