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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.5 )
- 日時: 2014/12/25 22:09
- 名前: 捨駒 (ID: vlOajkQO)
男は口元を緩ませて大きく笑んだ。
口元から目元へ伸びる紅の刺青か歪む。
「そう。神様なんだよ。」
全く訳がわからない。
「神様…?」
「駄目です。ソイツに関わると魂を飛ばされますよ。体ごと。だから…」
「だから、更木真太郎は飛ばしてやったのさ。未練が残らないうちに…未練が残ると、向こうの世界には行けないのさ。」
小刀を喉に向けて安芸彦はより一層笑む。
未練というのは私の事だろうか。
「だからね…」
あのあと、私はどうなったのだろうか。
喉元が痛い。
「……ここは…」
埃っぽい部屋の隅に置かれたベッド。
「あら?起きた?」
眠たい目を擦り、重たい瞼をこじ開けた。
横に花子が作った卵がゆと食器を片付ける花子の姿。
「安芸彦の野郎に斬られてアンタ、死にそうだったのよ。」
「昨日は夢じゃ…」
「まあ、夢と思うのも…無理は無いわね。」
花子は色々と教えてくれた。
ここに来れるのは死ぬ直前の人間と死にそうな人間だけだということ。
行き来できる花子と太郎、そして新しく加わった葵には啓を守らなくてはならない義務が、会った次の日から出来るのだ。
当然、スマホは圏外。窓の外を見ると辺りは暗く夕方だ。その景色は変わらない。
「…ちょっと待ってください。守る義務?」
「そうね。初めは難しいけど、慣れると楽しいわ。家事だけでもいいの。」
ナイフを見せつけてニヤリと微笑んだ。
「戦闘はまだしなくても大丈夫よ。」
「色々とありがとうございます…え、えーと…」
「私は入野花子。うざったい長髪が澤米太郎。そして、獄寺啓。」
「私は…君島葵です。」
「名前はきちんと持っておいた方がいいわよ。ポケットにでも、メモを入れておきなさい。」
こうして、君島葵という女はここで働くことになった。
唐突すぎて全く分からない。
しかし、どこか楽しくて夜の出来事を手早く頭で処理できた。
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