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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.6 )
- 日時: 2014/12/27 09:36
- 名前: 捨駒 (ID: 6hC8ApqV)
電車の中は揺れる人々でごった返していた。
『きさらぎ駅って知ってるか?』
『きさらぎ駅ってあの2ちゃんねるの?』
男はスマホに目を向ける。
『きさらぎ駅って所に居るんだけど…眠たい。』
『眠っちゃ駄目です!』
『名前が…あれ?分からない。』
『名前は頑張って思い出して!』
『水のみたい…あ!トンネルと…車?車の中の人が連れてってくれるって!』
『駄目です!ついていかない方が…』
『おーい!聞こえてます?』
『水は飲まない方がいいかと。』
——これで…消えた?
「貴方何を見ているの。」
「………あ…?」
顔を上に向けると、ザワつく電車内に一人、冴えるような格好をした巻髪の少女が目を細め笑いながら立っていた。
「怖がらないで。私は獄寺メリー。貴方は?」
「ぃ……黒田……ひび…き…」
「黒田?いい名前ね。」
おかしな人だと思い、すぐに下を向いた。
「助けてあげるから。」
メリーの声は聞こえないまま。
響がもう一度顔を上げた頃には誰も居なかった。
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