コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 獄寺啓という男。 ( No.7 )
- 日時: 2014/12/27 15:55
- 名前: 優斗 (ID: jJ9F5GeG)
静かな次の日。
喫茶店で太郎はマスターのオリジナルブレンドを飲みつつ、何かの掲示板を観覧していた。絵になる光景と言いたいところだが、後ろから顔を出した男に素早く太郎は蹴りをいれる。
店主と仲が良い太郎は、この喫茶店のWi-Fi環境を貸してもらっている。その喫茶店の息子が頬をおさえ、涙目で顔を太郎に向けた。
「ひどいっ!母ちゃんにも殴られたことないのに!」
「母ちゃんは殴らねーよ。俺の後ろに立つんじゃねえ。」
「…エロ画像でも見てるのかと。」
「六銭…お前にはつくずく愛想がつきた。」
店内で殴り合う二人の騒音を気にもかけず、啓は静かにコーラを飲み干す。花子は耳栓をしながらパスタを啜り、葵は少々戸惑いながらマカロンを口にした。
この喫茶店は、本来なら見つけることのできない所にある。
見つけた者は死を覚悟した者か本当に何か用事があるもののみ。
以前、アポなしのロケ番組で取材に来たスタッフと芸能人が原因不明の病で亡くなっている。それ以来、この通りには芸能人は現れなくなった。
「相変わらず五月蝿いですね。」
「…あっ、はい。ですね。」
グラスに残った氷をまじまじと見つめる啓とマカロンを食べ続ける葵。葵の方は息子がこんなんでいいのかという疑問を密かに抱いていた。
名前は六銭とだけ言われているが、後に花子さんが言っていたが円というらしい。
「ここであってるのか…?」
「おい、円!客が来てるわよ。」
「げえっ!まーじ、」
よく気が付いたなと思った。
耳栓を外した花子はいつも通りのぶっきらぼうな態度で、アンティーク調の扉を睨んだ。六銭は立ち上がり扉を開けた。
「いらっしゃい!」
「っ…………」
黙り混んで入ろうとしない男はぼそぼそと呟いた。。
「…ここ、えと…有名な…えとその、あの…」
「シャキッとしなさいよ!」
痺れを切らした花子に男はビクつき、深呼吸をしてから言った。
「お願いします!姉を救ってください。」