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Re: 獄寺啓という男。 ( No.9 )
日時: 2014/12/30 23:03
名前: 優斗 (ID: MXjP8emX)



一人の少女は呟いた。

「ぶえっくしょいっ!…風邪かしらね…。」

黒い皮の手袋の中のスマホには色んな名前の電話番号への発信履歴が残されていた。これもすべて、彼女がメリーさんとして現れたからによるものである。

傘を片手に持ちながら、暗い空間へ足を踏み入れた。

禍々しいその中にメリー以外の者は無く、ただ一つ、トンネルが新たな生け贄を待つように太鼓の音と鈴の音が奥から聞こえるのだった。

「…ここも居ませんわね…」

きさらぎ駅の雰囲気としては、どこかに人が居てもおかしくは無いが、肝心の依頼人が一行に現れないのである。
依頼人が現れない限り彼女はどうすることもできない。

「……誰…か!…」
「!?」
「誰か!助けて!」

ハッキリと聞こえた。女の声。

押さえることのできない楽しさと口のニヤケを何とかし、不在着信をかけていた電話をすぐに閉まった。

「見つけましたわ…せいやッ!」

トンネルの空間を切り裂き、女を連れ出す。
泣き崩れ、顔は見れないほどになっていた。それほど安心したのだろう。

「泣いては駄目。綺麗な顔が崩れるわ。」
「はい…貴方は?」
「こういうときに便利な言葉がありますの。『話は後だ。』ゲームで知りましたわ。」

女は頷き、メリーの後ろに下がった。

「さあ円!行きますわよ!」
「ほいさっ!ド派手にヤるか?」
「ええ、好きに破壊を。」

ダイナマイトとバズーカを取りだし、全てを業火で包み込んだ。空間は消え失せ、何もなかった様に土地は普通の駅へと変わった。

「煙を出せばよかったのよ。」
「ありがとうございます。円さん…?と、」
「名乗るほどの者では。獄寺の姉とでも覚えてください。」
「はいっ!」

全てが終わりを迎えたかのように思えた。

しかし、まだ話は終わっていなかったようで。



続く。