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Re: 花言葉と約束と。〜孤独の姫と悠久の執事〜 ( No.2 )
日時: 2015/02/13 15:06
名前: 彼方 (ID: SrUKMM4y)

第一章 *シラー*
「アイビー、暇。何かして楽しませなさい」
私は執事であるアイビーを呼びつけ、無茶なことを言った。
だって、本当に暇なのだ。部屋からは出られないから。何故部屋から出られないのかは私は知らない。ただ、お父様が口うるさくそう言うのだ。
「何か、ですか」
私がそんな無茶なお願いをしても、アイビーは嫌な顔一つせずに、真剣に考え始めた。
「ここにある物語はほぼ読まれましたし、今は特に玩具は手元にありませんし。…………そうだ」
アイビーは突如何かを思い付いたようで、
「少しお待ちいただけますか。すぐ戻りますから」
と言って、部屋の外へ出て行った。
部屋の外、か。私は部屋の南側にある大きな窓を見て、ため息を吐いた。

外。それはどんな所なのだろうか。きっと、物語に出て来るような素敵なものがたくさんあるんだろう。
この部屋にある窓から見える、小さい空なんかじゃなく、一面真っ青な空が見てみたい。見上げても見上げても、どれぐらい高いか分からない空が。
「海」なんかも見てみたい。空よりずっと深い青色の、表現出来ないぐらい壮大な、水を湛えたものらしい。風に煽られて立つ白い波飛沫とかを見たい。
それから、「地平線」なんかも見てみたい。地面が見えなくなる所まで続いているような場所があって、空と地面の境界に出来る真っ直ぐな線らしい。

でもそれより。私はまた、ため息を吐いた。