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Re: 花言葉と約束と。〜孤独の姫と悠久の執事〜 ( No.9 )
日時: 2015/02/07 10:12
名前: 彼方 (ID: rBo/LDwv)

そんな風景なんかより。
「友達」とか「想い人」とかいう人が欲しい。誰かと他人以上の関係になってみたい。でも、それが不可能なことぐらいは分かっている。部屋から出られないから。

それを見兼ねたお父様が、前に何度か「友達候補」として私と同じぐらいの使用人を仕えさせたことがある。
でもダメ。3ヶ月も経たないうちに皆辞めていってしまう。

私が7歳ぐらいの時からは、専用の執事を付けてくれるようになった。
でも、その全ての人達を私は突っぱねた。だって、皆よそ行きの笑顔と態度で接してくるから。誰一人として必要以上近づこうとはしなかった。

誰も使用人以上にはなり得なかった。皆、職務を淡々とこなしているだけだった。

アイビーは、そんな人達とは違い、よそ行きや愛想ではない、本当に優しい笑顔で接してくれる。

でも何故だろう、距離を置かれている気がする。意識的に執事以上にならないよう、気を付けている気がするのだ。悲しく感じて、そのことをアイビーに言うと、悲しげな瞳で笑うので、深い理由は聞かないが。

本当に欲しいものは、決して手に届かないところにあるものなんだろうか。

私の心の中にはいつも、よく分からない感情が巣食っている気がする。もやもやした、どこか空虚な感情。その感情をじっと見つめていると妙に哀しくなってくるから、いつも私は見ない振り。