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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Eternal flowerー花言葉と約束と。ー ( No.14 )
- 日時: 2014/12/31 20:11
- 名前: 彼方 (ID: y68rktPl)
「……寂しい」
……あれ、寂しいって何だっけ。
寂しい、なんてよく使う言葉だけど、よく使う言葉ほどちゃんとした意味は分からないものだ。
腰掛けているベッドの近くにある本棚へ歩み寄る。そして、辞書を手に取って開いた。
私は暇な時、よく本を読んでいるので、分からない言葉が出てきた時のため、辞書は本棚にいつも置いてある。
パラララッ、と紙と手が擦れる音が響く。
あった。
寂しい。
えっと、意味は「あるはずのもの、あってほしいものが欠けて満たされない気持ちだ」「人恋しく物悲しい。孤独で心細い」か。
__あれ?
あるはずのもの、あってほしいものが欠けて満たされない気持ち__、
それはまさに、私がずっと抱え込んでいた感情じゃないのかな。
家族は父親しかいなくて、その父親すらまともに会ったことはない気がする。
恋人もいなければ、友達もいない。外へ行ったことはなくて、知っている世界はこの部屋だけ。
私の事を本当に分かってくれるのは私しかいない。
家族と休日出かけたり、友達と仲良く喋ったり、いつかは恋人を作って愛し合ったり……そんな、「普通」が私には一切ない。
__ああ、気付いちゃった。私の中に巣食っていたこの感情の正体。
もやもやした、どこか空虚な感情が何なのか。
そっか、私はいつもいつも「寂しかった」んだ。
家族でも恋人でも友達でもいい。誰か、分かり合える相手が欲しかったんだ。
分からなかった時は「この空虚な感情は何だろう?」としか思わなかったのに。気付いちゃうと、どんどん膨れ上がって私を苛んでいく。
寂しい、
寂しい、
寂しい。
心に大きな穴が空いていて、絶えず風が吹き込んでいるみたいだ。
涙が知らないうちに溢れる。
私はいつもいつも、こんな感情を抱えてたんだ。じっと見つめたのはこれが初めてかもしれない。
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