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Re: Eternal flowerー花言葉と君と。ー【挿し絵付!】 ( No.62 )
日時: 2015/07/23 10:49
名前: 彼方 (ID: /yMGlo86)

恐怖でもなく、期待でもなく、諦観でもなく、ただ知りたくて私は訊いた。
アイビーは肯定しなかった。
____ただし、否定もしなかったが。
「ねえ、無言は肯定ととるけど?」
そう言っても、アイビーは無言だった。跪いたまま俯いて、私を見ようとしない。

____ああそうか、私は近いうちに死ぬんだ。
さっきの「どうすればいい?」と悩んだのとは裏腹に、いざ知ると、衝撃はあまりなかった。
だって、どうせ生きていたって、何をしろと言うんだ。将来への希望も、夢も、期待も、何一つないのに。

「私は、病気?」
そう問うと、ようやくアイビーは反応を見せた。頷いたのだ。
ああ、やっぱり。私は病気なんだ。
「なんて言う病気?治る見込みはあるの?」
しばらく間が空いた。私は、アイビーが話し出すのを静かに待った。


アイビーは小さく言葉を紡ぎ始めた。その声は僅かに震えていた。
「申し訳ありません。言うことはできません」
「……何故?」
そう問いかけると、アイビーは一度深く深呼吸した。吸って、吐いて。そして、おもむろに口を開いた。
「____きっとお嬢様は深く後悔されるからでございます。お嬢様は、どんな深い闇でも背負う覚悟がおありですか?」
私は口ごもった。「深い闇」って、何?私の病気は、一体____。

アイビーは、私が黙ったのを見て、言わないことに決めたらしい。無理に微笑みを浮かべ、私に言った。
「お嬢様、お食事はどうなさいますか?何か口に出来そうでしたら、料理人に何か作らせますが」
正直、空腹ではないし、吐いてしまいそうなので食べ物はいらないけれど、一週間何も食べていないのだ。何か食べた方がいいだろう。
「そうね、スープでも持ってきて頂戴」
「かしこまりました」
アイビーは跪いたまま一礼し、立ち上がりドアへと歩いて行った。