コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.31 )
- 日時: 2015/02/14 00:11
- 名前: 彼方 (ID: rBo/LDwv)
「何だよこれ?」
「あげる」
「……は?」
今桃音は「あげる」って言ったのか?俺、耳でもおかしくなったのだろうか。
「あ、あげるって言ってんのよっ!耳悪いの!?」
桃音が買ったスポーツバッグなのに、何でそれを俺に?
「えっと……、何で?」
「き、今日一日、荷物持ちさせたお礼と、その…………」
「ん?」
促すと、桃音は半分逆ギレするように言った。
「今日は、その、あんたの誕生日でしょっ?まさか自分の誕生日なのに忘れてたのっ!?馬鹿じゃないのッ!?」
「……え?ホントにっ?」
「ホントだけどっ?何か文句あるっ!?」
「え、つまりこれ、俺の誕生日プレゼント?……すっげえ嬉しい」
俺は思わず満面の笑みを浮かべてしまう。
親にプレゼントもらう歳じゃないし、望にはまあ、もらうはずもなく、奈々架には俺の誕生日なはずなのに望より小さい手作りケーキもらうだけだし、毎年学校の女子からは恐らく人違いか望に近付くためであろうプレゼントしかもらわないから、正直ものすごく嬉しい。
「俺のスポーツバッグ、中学から使ってるからボロボロになってたんだよなー。いっつも買わなきゃなーって思ってたけどめんどくさくてそのまんま使ってたからすっげえちょうどいいわ」
「……んなん知ってるし、だからスポーツバッグにしたんでしょ」
桃音が何かを言ったが、風の音で聞こえず、
「なに?何か言ったか?」
と聞き返したが、
「何でもないっ!」
と言われてしまい、俺は内心首を傾げた。
「ありがとな、桃音!!」
桃音はむすっとしながらそれでも嬉しそうに口を緩めた。
「……どういたしまして」
今までの不機嫌そうな顔のギャップで余計そう見えるのだろうか、その笑顔がすごく可愛く思えた。
「桃音さあ、笑ってた方が絶対いいだろ」
「え?そ、そう?」
意外そうに桃音が尋ねる。
「だってさ、お前笑うとめちゃくちゃ可愛いじゃん」
すると桃音は、怒りなのか別の何かなのか、顔をまた真っ赤にして膝蹴りを食らわせてきた。
「いってえっ!い、今の怒るとこじゃないよな!?俺褒めたんだけど!?」
「うっさいわね、黙って蹴り食らっときなさいよ!」
「理不尽すぎるだろ!」
「そんなん知るかっ!このサボリ魔!」
「はあ?俺サボリ魔じゃ____あー……、サボリ魔だわ俺」
「ホントよ!部活いっつも隙あらばサボってっ。あたしがバッグ買ってあげたんだから、部活ちゃんと来なさいよっ?!」
「あーはいはい善処します」
「絶対だからね!」
「考えとく」
「体調不良と特別な用事以外でサボったらそのバッグの代金請求するから!!」
「え!?せっかく誕生日プレゼントだと思って嬉しかったのに!」
「だーかーらー、部活サボんなきゃいいのよ!分かった!?返事ははい!」
「は、はい!」
桃音と俺は、いつも通りのやり取りをして笑い合った。
今日、今までで一番良かった誕生日かもしれない、なんて思った俺だった。