コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.45 )
- 日時: 2015/08/28 16:36
- 名前: 彼方 (ID: qi1QiRsq)
「じゃあ!佐藤をどうにかしてことりんとくっつけよう!」
昼休み。望の机に俺、望、佐藤が集まっていた。
なんで俺まで巻き添え食らうかな。俺は恨めしい顔で外を見た。今頃外ではクラス対抗のサッカーかバスケが行われているんだろう。羨ましくて仕方がない。
バシッと望に頭をはたかれた。思わず「いってえ!」と望を睨むと、望は必死さと悲壮さが入り混じったすごく真剣な顔をしていたので、黙って話に参加することにした。そうだよな、お前の命がかかってるもんな。ちょっとぐらいは真面目になってやるか。
「そ、そこまでしなくていいよ……?ぼく、琴ちゃんは見てるだけで幸せだから……」
おどおどと佐藤が口を挟む。
「ダメなの、それじゃあ!何が何でもくっついてもらわないとっ!オレの事情だから佐藤は気にしないでっ!」
望の必死さに圧倒されたように、「う、うん……」と頷く佐藤。
「あ、えっとね、佐藤じゃなくて、陽太って呼んで?ぼく、佐藤って名字あんまり好きじゃないんだぁ」
えへへ、と笑うさと____陽太。それを見て俺は思わず呟く。
「さ____、陽太の強みってその、男だか女だか分かんないリアクションだよな」
「へ?ぼく、女じゃないし、女っぽくもないよ?」
ただでさえ大きな目をまん丸くして驚く陽太。……本当にこいつ性別なんだよ。
「……ダメだ、陽太といると何か……、うん。感覚おかしくなりそう」
「ふえ?」と疑問符を浮かべる陽太に望はこそっと耳打ちする。
「気にしないでねっ?友哉、童貞だから女の経験全然なくて、女子っぽい可愛い反応に弱いだけなん「てめえ何か変なこと吹き込んでんじゃねえぞ」
俺が気にしてることを思いっきり抉ってきた望。やめてくれよ、気にしてんだからさ……。
「変なことって、事実でしょーっ?」
望は満面の笑みと共に思いっきり俺のメンタルをぶっ壊しにかかった。
「えっと……、友哉くんならすぐできると思うよぉ?」
気まずそうな顔でそう俺を励ます陽太。……俺、そんなこと言われなきゃいけないほど不憫かな。不憫なんだろうな。
視界の端ににやにやしている望が入る。……決めた、俺、菜々架にこいつ殺してもらおう。
俺がゆらっと立ち上がりながら「……俺、ちょっと菜々架に用ができたわ」と呟くと、望は途端に「ごめんごめんっ!!それだけは勘弁してっ!!」と謝ってきた。仕方ないから座ってやる。
「しゃあねえな。お前、またそういうこと言ったら菜々架んとこ行くからな」
望は深い反省の色を浮かべて「ハイ、ごめんなさい」と頭を下げた。
「あのぉ……、望くんって、菜々架ちゃんと付き合ってるの?」
「え?うん、まあね」
陽太の問いに何気なく答える望。こいつ、付き合ってるの隠してんじゃないのかと思ったが、よく考えてみれば隠してる理由が理由だから、男子にいってもなんら問題はないのだろう。
理由って言っても、「女子にできるだけちやほやされたいから、彼女がいるなんて噂広まったら離れちゃう女子もいるでしょっ?」というどうしようもない理由だが。
それは許すけどことりんのようなものは許さない、というのは菜々架は一体どういう基準なんだ、とは思う。
でもきっとちやほやしてくれる女子はファンクラブみたいなのを作っていて、特定の誰かが近づき過ぎないように牽制し合うから構わないんだろう。それに、菜々架ことりん嫌いだもんな。
「そうなんだぁ……、何かちょっと意外だなぁ。……じゃあ、琴ちゃんって、望くんのこと好きなの?」
さっきとはなんら変わりのないイントネーションで陽太が問う。本当に何気なく。だから、
「え?うん、まあ____「阿呆ぉっ!何言ってんだよ!?」
望も答えてしまったんだろう。
「え?____あっ!?」
処置無し、と俺はため息をつく。
なんでわざわざそんなこと言っちゃうかな、こいつ。これで陽太が諦めたらどうするんだ、お前死ぬぞ。
「そっか、やっぱりそうなんだぁ……。ぼく、やっぱり見てるだけで「やめて!?諦めないで頼むからっ!!」
案の定陽太は諦めそうになっていた。自業自得、だな。
「諦めなくていいと思うぞ、陽太。……こいつ、性格ゴミだからよ。良いのは見た目だけで中身クズだけど、それでもことりん落とせたんだから、陽太でも大丈夫だ」
「ちょっとぉ!?ゴミとかクズとかってひど「うっせえ。陽太がことりん諦めたらどうすんだ、お前」
喚く望の口を塞ぎ、耳元で囁く。渋々といった感じで望が黙り込んだ。
「そんなことないよ!だって、望くんって運動もできて、勉強もできて、みんなに優しくて、かっこよくて……。ぼくなんか敵わないよぉ……」
陽太が悲しそうに俯く。
だろ?やっぱオレ完璧だろ?と望が言いそうだったのでとりあえず頭をはたいてやる。恨めしそうに望が睨んできたが無視した。
「そんなことないぞ?お前だってかなりハイスペックだろ。テニス部でシングルスで都大会だっけ、行ったろ?すげえじゃんかよ」
陽太が口を挟みたげにしていたので、手で制して俺は続けた。
「まあお前が反論したくなるのも分かるけどな?こいつ外面『だけ』はいいもんな。てか、普通にかなりのハイスペックだもんな。
でも!お前はもうちょい自信持て。俺、陽太とは今日初めてマトモに話したけど、それでも性格いいってぐらいは分かっから。だから、自信もて、な?」
俺はにっと陽太に笑いかけた。
……しっかし、何で俺がここまで真剣に励まさなきゃならんのだ。これって望の役割じゃねえのか?
「自信持て、って友哉人のこと言えないよね。つーか、一番自信持つべきなのって友哉だよね」
ぼそっと望が呟く。
「うっせ、俺はいいんだよ俺は。でも陽太は自信持つべきだろ?」
陽太の方を見ると、陽太はふへへ、と笑って驚くようなことを言った。
「何か、友哉くんがモテる理由、すごい分かったような気がする」
……こんな気持ち悪いやつがモテるっていうなんて、頭がおかしいか嫌味としか思えない。ということは俺、嫌味言われたのか?
性格よさそうな陽太に嫌味言われるほど、ウザい、あるいはキモいこと言ったかな、俺。どうしよう、自覚がない。これじゃあ直しようがない。どこが悪かったんだ、一体。
「……待って、俺が今言ったことの何が一番キモかった?てかどこらへんがウザかった?」
笑顔のまま理解ができない、というように固まった陽太。
「気にしないでよ。友哉、卑屈すぎて変な勘違いたまにするから。オレも時々、ブッ飛び過ぎてて理解できないんだよね」
望が何か陽太に囁いた。陽太は少し驚いたように頷いた。……待って、今の俺本人に言えないぐらいアレだったのか?
「じゃあまずことりんが何でお前なんかを好きになったのか考えてからだな、話は」
俺は話を戻した。……だから、これは望の役割だろって。何で俺が仕切らなきゃいけないんだ。
「望、心当たりは「ないっ!オレ、しょっちゅう好きになられるだろうことを色んな人にしてるから、いちいち覚えてないねっ!」
もはや清々しいほどの笑顔で言い張る望。……ぶっ殺してえ。
「あーはいはいさいですか。……俺、そういや一回ことりんから恋愛相談受けたんだよな」
そう、中二の時にことりんから相談されたのだ。多分、望と仲が良くて自分も仲が良かったからだろう。
「あ、そうなのっ?だから鈍感過ぎる友哉がことりんが好きなのがオレって知ってたんだねっ!」
鈍感過ぎるってなんだ鈍感過ぎるって。
まあそれはいいとして。好きになった理由なんて言ってたかなことりん。確か____
「ああ、確か好きになった理由、部活の練習試合見てかっこよかったから、とか言ってたかな」
まあ、それ以前に友達になっておくのが大前提だとは思うが。
望が表情を輝かせて言った。
「それだよっ!!陽太とことりんを仲良くさせてから、陽太の練習試合、見せてあげればいいんだっ!!それでも無理だったらまた違う手を考えよう」
……ということで、ことりんと陽太をくっつけるための行動が開始した。