コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ヒーロー達の秘密会議。 ( No.18 )
日時: 2015/02/21 14:35
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)

 何と何と、先程見てみたら参照が600回突破させて頂いていましたー!
 突破記念の方はもう少し、話が進んでからにする予定です。
 本当に……ありがとうございました!!



 
 
 何度も言っているが、今の季節は冬。そう、冬なのである。
 幾ら、彼等が春の暖かさを感じる事が出来ていたとしても、寒いという事には変わり無く。
 そんな凍える季節に、窓を全開にして何分も窓際で突っ立っているというのは、まさに地獄同然である訳で。

「おい。まだ下りちゃダメなのか? もうそろそろ、良いと思うんだが……」
「あ、後、ちょっと! ちょっとだけ待って下さいっ。まだ体形になれなくて……それに下りるの、少し怖い……」
 
 最後の方は、声の大きさが小さかった所為か、隣にいる伶さえも聞き取れなかった。だが、後輩が戸惑っているのに無理に飛び下りるというのは、先輩として気が引けたのか、溜息を吐いただけで何も言わなかった。
 一方。旭はそもそも高い所が好きでは無く、しかも運動神経は到底良いとは言えなかった。それなのに、2階から初めてしたお姫様抱っこで飛び下りろ、というのはあまりにも旭にとって、寒さより地獄だった。
 そんな微妙な空気の2人に追い打ちをかける様、外からは「早くしてよ」と苛立つ声も聞こえて来ていた。主にあの少年だ。
 その声を聞き、早く下りなくてはと思ったのか、旭は目を瞑り、あのゴミ屋敷に入った時の様に、決心する。
 
「…………良し。も、もう下りて平気です……お願いします」
 
 そう旭が言うのが早いか、それとも飛び下りるのが早いか、判別出来ない位の猛スピードで、伶は旭を抱えたまま身体を宙に浮かせ、飛び下りた。思っていたよりも、落下速度が速かった様で、旭は思わず声を漏らし、伶の首に回していた両手に力を入れた。
————気が付くと旭は地面に立っていた。
 旭は一瞬。何が起こったのか良く解らなかったが、無事着地出来たのだと解ると、安心したのか深く息を吐いた。
 
「へー。何を2人でしているのかと思えば、そういう事。伶って案外、女好きなの?」
 
 何処からか声が聞こえたと思い、旭が首を横に動かしてみると、そこにいたのは、嗤いながら片手を口元に当て、冷ややかな目で伶の方を見ている遼。同じく嗤いながら立っている遙と、そんな2人に苦笑いしている佑里の3人だった。
 遼が言った言葉の意味を理解すると同時、旭の顔から火が出て来た。耐え切れなくて俯いていると、伶が口を開いた。

「そういう事って何が? 俺は別に自分の事、女好きだとは思って無いけど……?」

 言っている事が解らないと、首を傾げている伶に、嗤っていた遼は「そういう所何だよなぁ」と頭を掻いた。またも首を傾げた伶は「どういう所?」と、顔を赤らめている旭に問うが答えは返って来ず。
 斜め後ろから2人を見守っていた佑里は、溜息を吐いて、着地体形のままの伶に向かって歩いて行くと、旭の片手をいきなり取った。
 
「もう! いい加減にして下さい。本当にそういう疎い所直さないと、呆れられちゃいますよ? いや、もう呆れてますけど。とにかく、旭ちゃんを返して下さい!! 何時までお姫様抱っこしてるつもりですか」

 佑里に言われ、伶はお姫様抱っこしていた事を思い出した様で、佑里が自分から引き剥がした旭に向かって「あ、悪い」と謝る。旭は「いえ、あの、大丈夫です」とまだ少し赤い顔で、はにかむ。 
 今まで何も言わず、ただ黙って見ていた遙は「青春だねー」と笑い、ゆっくり拍手をした。
 そんな遙を横目で見ると、薄らと笑みを浮かべながら、遼は身体を解す為に背伸びをして大声で言った。

「まぁ、もう遅い訳だし。これにて、今日の所は解散!!」

 
 少女————旭は、今日1日で起こった可笑しな出来事を思い出すと、何だか笑えて来て、心の奥が日を浴びたみたいに温かくなった様な気がした。