コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ヒーロー達の秘密会議。 ( No.21 )
- 日時: 2015/04/25 23:07
- 名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)
参照700回突破記念!!
まさか、こんなに大きな数になるとは、思ってもいなかったので、夢じゃないかと頬を抓りました。痛いです。
更新が遅いからか、全然進んでいないので、今日(更新日)がバレンタインデーという事もあり、5人の話でもと。
……本編では、まだ2月に差しかかってもいないんですけどね(笑) まぁ、これも記念と言う事で。
2回に分けて更新します。では、まず1回目——黒髪少年とお姫様のお話を。
*
【1日限定チョコレート】
ピンク色のカチューシャをした、ショコラブラウン色巻き髪のお姫様————片峰旭は、只今、人生最大とも言える決断をしようとしていた。
今日、2月14日は朝から何だか皆一様に騒がしかった。いや、別に皆が口煩い、という訳では無く。もう少し細かく言うと、何かを待っている様子なのである。
2月14日と言うと『バレンタインデー』であり、感謝の気持ちを伝える義理チョコや意中の相手へと渡す本命チョコ等、世間が恋人の甘いムードで包まれる、女性の一大決心の日でもある。
そしてこの事は、旭も決して例外では無い。
これまで生きて来てずっと旭は、誰かに対してバレンタインデーにチョコをあげた事は無かった。しかし、今年は何と4つ、不慣れながらも1から自分で作る事に成功した。なら、後は相手に渡すだけである。
——しかし。
「ど、どどどうしよ……作ったのは良いけど、コレ、どうやって渡そう。何か言って渡すのかな、えっと、どうすれば…………」
旭にとっては、此処からが悩む所なのであった。
チョコレート作りは、家にあった本に書いてあった通りに進めれば完成出来たものの、渡し方何てものはレシピ本には書いておらず、初の旭には到底解る事では無かったのだ。
普通は手渡しが無理ならば、下駄箱や机の中に等、置いておくものだが、相手の教室が解らない彼女には出来ない方法である。ならば、相手の学年の教室を回って訊き、何処のクラスなのかを探し当てれば良いのでは、と思うだろうが、彼女は極度の人見知りである。そんな彼女が4人と言う大人数のクラスを1つ1つ探し当てるこの方法は、どう考えても不可能である。
だが、彼女には1つだけ、相手にチョコレートが届く方法が、可能性はそう高くは無いがあった。
その方法とは、此方——『ゴミ屋敷に置いて来ちゃった。ごめんねー』方法である。本当にそのまんまの作戦であるが。
これはそう、言わばチョコレートを賭けた真剣勝負であり、相手の行動を予測する必要があるのだ。何故かと言うと、旭の作ったチョコレートは、決して日持ちする様な感じのチョコレートでは無い。なので、何とかして今日1日の間で相手に渡す必要がある。
そう言う事なので、今日中に相手の内、誰も此処に来ないとなると、チョコレートは置いてきぼりにされて、仕舞いには溶けて腐ってしまう。しかも、運悪く明日は休日で、今日来なければチョコレートは天に昇ってしまう訳だ。
「…………もうこの方法しか思い付かないし、こうするしか……無いよね」
旭は鍵をかけ忘れたと思われるドアノブを回して、部屋へと踏み入った。と、その時、何時かのビックリ箱が旭を邪魔し、旭は吃驚する間も無くそのまま勢いよく倒れた。
チョコレートはと言うと、その衝動で空中へと上がり——誰かが出した幅の広いテーブルへ素っ飛んで行った。起き上がった旭は、何とか無事でいたチョコレートを見ると、安心したのか息を吐いた。
立ち上がった旭は、まだ頭に衝動が残っているのか、不安定な足取りで、これまた誰かが用意した薄茶色のソファーに横になった。思ったよりも柔らかかったからなのか、身体を横にした旭は、何時の間にか目を瞑っていた。
*
「……ん? ドアが少し開いているが……まだ誰かいるのか?」
忘れ物を取りに戻ってきた黒髪の少年は、奥の方へと目を向けた。
その目に映ったのは、何処かの可愛らしいお姫様が横になっている姿と、机に纏めて置かれている4つのチョコレートだった。一瞬驚いて立っていたが、直ぐにバッグをその場に置いて駆け寄ると、まず最初にお姫様の方に行き、眠っている事が解ると傍にあるチョコレートを見つめる。
少年は微笑んで自分の名が書かれた袋を手に持って、お姫様に向き直り頭を優しく撫でた。
すると、お姫様は嬉しそうに小さく寝返りを打ち、寝息をたてて綺麗な笑みを見せた。