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Re: ヒーロー達の秘密会議。 ( No.3 )
日時: 2015/02/09 22:28
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)

【第1話・彼女は彼等の被害者です】
 

 一瞬、息が止まりかけた。
 驚きのあまり硬直している身体に優しく嗤いかける様、妙に温かな風が入口近くまで漂う。
 
「——えっ」

 我ながら情けない声が漏れているとは分かりつつも、隣に立つ少年を見上げる姫君の様な顔立ちの少女。
 その顔には、何が何だか解らないという不安の色が表れていた。
 しかし。隣に立っている少年は、先程から1度たりとも笑みを絶やさない。それが余計に少女を憂慮させていたのだった。

「あ、この部屋の奥に皆いるから。さぁ、進もう進もう!」

 茶色に染まった癖のある髪の毛を揺らし、爽やか過ぎる笑顔を少女に浮かべては、楽々と奥の方へと進んで行く。そう。


 ゴミ屋敷の中を——

「ふぇっ!? こっ……この中をですか!? いや、あの、こっこれはちょっと……」
 
 少年が躊躇い無く入って行くのを見た瞬時、硬直していた身体を勢いよく後退りさせ、「無理無理無理無理無理無理無理、絶対無理無理……」と呪いの言葉を早口でそこら中に撒き散らす。
 が、不幸中の幸いなのか、それとも少女にとっては不幸でしかないのか、笑いながら進んで行く少年の耳には、全然届かなかった。
 少女は固く目を瞑った後、決心が付いたのか、そっとゴミの散乱している空き教室に踏み込んだ。
 
「な、何だろ……コレ」
 
 入口近くのゴミの中、まだ誰にも開けられていないらしい小さな箱を見付けた。
 この理解不能な状況の中、その箱に興味を持ってしまう少女も少女なのだが、こんな所にこんな箱を放置している誰かも誰かだ。
 そしてこの、少女が箱を拾い上げた数秒後。

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!? え? なっ何コレ!? ちょ、こっちに来ないでぇぇぇ!!」

 少女の身に、恐ろしい表情をした化け物が襲いかかってきた事は、もうこの際言うまでもないのだろう。



【オマケ 話】
「あ! その箱、ビックリ箱だから気を付けてねー」(グッドポーズ)
「そ、そういう事は、先に言って下さいよぉ!!」(半泣き状態)