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Re: ヒーロー達の秘密会議。 ( No.5 )
日時: 2015/02/21 14:33
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)

「——で、何なわけ? ていうか、いー加減止めてほしいんだけど、このうざったい空気。嫌なんだよね」

 周りを気にせず文句を言い続け、顔を合わそうとしない3人を交互に見ては、溜息を吐き、舌打ちを噛ます。一体、何度この動作を繰り返したのだろうか。
 栗色の髪の毛を黒のフードで隠しながら、薄汚れている机に肘をついて、鋭い目付きで事態の原因である少年を睨む。
 見るからに口の悪い少年がこの空き教室に入って来たのは、今から数分前。


 穏やかでは無い空気が流れている中、只管3人は黒髪の少年が逸早く帰って来る事を心の底から願っていた。
 しかし、そんな願いむなしく、何分経っても少年は帰って来なかった。本当に帰って来る気があるのかどうか、疑ってしまう程帰って来る様子は無かった。
 
——そんな3人に、神は希望を与えてくれた。
 
 誰かが入って来る気配を感じ取った3人は、勢いよく身体を振り向かせた。まるで、幼い子供が新品の玩具を買って貰った時の様に、瞳が輝いていた。
 だが、そんな希望はそう簡単に現れる事は無く。ゴミ屋敷へと足を踏み入れたのは、黒色とは違い、栗色だったという話で。
 少女はまたも知らぬ人だったのか、首を傾けていたが、他2人は少年を見た途端、顔を思いっ切り歪ませた。それ程までに嫌だった様だ。
 希望が見えたと思っていた分、落ち込みも激しかったのだろう。3人の心はぐったりとして疲れ切っていた。
 そして時は流れ——今に至る。


「つーかさ。見た感じ、遙が悪いんでしょ? まぁ何時もそうだけど。今回は素直に謝ったら? そんで許してもらえばいーじゃん」
「謝りました。31回。でも許しては貰えなかったので、現在に至ります」
 
 遙と呼ばれた爽やか少年が、真顔で答えると「開き直ってんじゃねーよ!」と口悪少年は傍に落ちていたゴミの中から誰かの教科書か何かを拾い上げ、丸め、頭を軽く叩く。遙は「痛っ」と言い自分の頭を擦る。
 その様子を見て何かを察したのか、ショートヘアの少女が急いで2人を肘で突っつくが、時は既に遅し。

「うぅ…………っふ……ぁ……ひっ」
 
 ショートヘアの少女の隣に座っていた少女の涙腺は一気に緩み、溜まっていたものが零れ落ちる。
 少女がただただ涙を流す姿を見て、3人は色々な表情や行動をした。
 遙は顔を青ざめ、口悪少年は驚きのあまりフリーズ、ショートヘアの少女は一生懸命慰めにまわる。
 しかし、少女は中々泣き止まず、それ所か慰めれば慰める程、大量の雫が頬に零れる。
 
 結局、少女が泣き止むまで皆色々と気を遣い、要らぬ労働力を使う羽目となった。
 黒髪少年が帰って来るのは、まだまだ先になりそうだと、3人は深く息を吐いたのだった。