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Re: ヒーロー達の秘密会議。 ( No.7 )
日時: 2015/03/01 13:19
名前: 蒼 ◆udrqXHSxjI (ID: A9wxTbZM)

 
 4人の高校生男女がドア1つしか無い密室で、長時間外にも出れず、閉じ込められているというこの状況。
 彼等にとってそれはそれは、もうこの夢の時間は——

「本当に暇何ですけれどぉぉぉぉっ!! 何にもやる事ねー!!」

 楽しいはずも無く。
 
 泣くのをやっと止めた少女は、同意する様に何度も頷く。その隣では、遙とショートヘアの少女が数度目の溜息を吐く。
 10分前。色々な所に散らばっていた本の数々を手分けして探し、黒髪少年が帰って来るまで読みふけようという話になったのだが、どこかの飽きっぽい少年と、文字解読不可能少女が苦しみ、終わりを告げた。
 その後、勉強が苦手の誰かさんを苦しめるかの様に、次回のテスト対策と言う名目で教科書を広げたが、これも長続きせず。
 4人は何度も頭に詰まった全てを使い、悩み果てたが、結局誰も良い案を出せずに終焉。

「……帰って来る気、あるんでしょうか。その黒髪の人、遅い……ですよね。大分」
「あはは。大丈夫。きっとあるよ、あるに決まって……」

 少女の呟きに答えるショートヘアの少女は、死にかけた魚が人間を見る様な瞳で出入り口のドアを見つめる。
 遙の方は、爽やか笑顔は何処かへ消え失せ、独りでゴミ屋敷ともいえるゴミの数を幾つあるのか数えている。これは重傷だ。
 一方、口悪少年は一番遅くやって来たからなのか、まだ気力が残っている様で、プラモデルを解体し始める。
 そんなこんなで5分程経つと、誰かが無気力で独り言を零した。

「——もう、帰ろうかな」

 ほんの僅かな時間で、4人は座り込んでいた椅子から立ち上がった。そして叫んだ「その手があったかー!」と。
 勢い良く制服の上に着ていたコートやらジャケットやら厚手のパーカーやら。それぞれ違う上着を手に取り、希望に満ちたドアへと早足で向かった。
 4人が無事到着し、代表として、遙がドアの持ち手に手を掛けると——

「悪い、少し遅くなった。集合時間を間違えて……って。何やってんだ、お前等」

 帰る支度が整った少年少女の瞳に、自分達より少々低目の幼い子供の様な顔が、どアップで焼き付けられた。
 何が起きたのかを脳が理解するまでに、時間にすると約5秒。
 彼等のもう少しで叶う所だった淡い願いは、黒色に染まった少年の所為で、儚く崩れ落ちたのだった。