コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.10 )
- 日時: 2015/01/04 17:29
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: J85uaMhP)
「二人ともよく似合ってるよ。受け付け行くから早く行こう?」
愛利ちゃんも、あっちでお母さん待ってるよ?
にこやかに促す光汰にいに、女子からの視線が集まった……気がした。
「はーい。じゃあ、ばいばいっ! 後でね」
スカートを翻し去った愛利に、篤にいが
「どっかの誰かさんと違って可愛げがあるな」
と呟く。
「やだ、お兄ちゃん。そんなこと言ったら梓嫉妬しちゃうよ?」
「キモい」
あらら。
ブリッコは篤にいには効かなかったか。
行き場のない上目遣いをさ迷わせながらも、篤にいに周りにバレないよう蹴りをいれる。
「いっ……!!」
「光汰にいー受け付け行こっかー」
やだ、篤にい、すねを擦って悶えてる。どうしたんだろ。
そんな私たちに苦笑いしながら光汰にいは、「受け付け、玄関だって」と指をさした。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.11 )
- 日時: 2015/01/04 17:30
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: J85uaMhP)
——……入学式はとても簡単なものだった。
いつも通り変わらず校長先生の話長かった。来賓のひとの話も長かった。
途中寝そうだったけど頑張ったよ、私。
生徒代表の挨拶も無難なこと喋って。
同じクラスらしい女の子と男の子に話しかけられて、メアド交換して。
「お前、そんなんで楽しいの?」
「ん? 何が?」
帰りの車の中で篤にいが、そう、私に問いかけた。
聞き返したけれど何がなんてとっくにわかっている。
「お前『何事も適当にあしらう自分かっこいい』とか思ってんじゃね?」
「ぶはっ!! そんなこと思ってるわけないじゃん」
篤にい馬鹿?
そう言って笑う私に、光汰にいも言うんだ。
「梓はさ、結構周り見れてるじゃん。周り見て今どうしたら自分が好かれるかって、わかってるじゃん」
真っ直ぐ前を見据えて続ける。
「でも、そんなんじゃ面白くないと思うよ。
——高校生活楽しめたらいいね」
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.12 )
- 日時: 2015/01/04 17:30
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: J85uaMhP)
お兄ちゃんは二人とも大人だ。
私のことを野放しにしてるように見えて実は私のことを両親よりよくわかってくれている。
——そんな二人だから私は頼れないんだ。
「そんなことない。楽しいよ。好かれれば自分に得なことばっか」
そんなことない。
もう一度繰り返して、窓の外を見た。
しゅんしゅんとすぐに変わる景色を見、入学式の内容をもう一度思い出す。
『——生徒会長の長瀬紘斗です。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。新しい生活に慣れるのは時間がかかりますが、楽しい学校生活を送ってください。ーー
……また、生徒会では、一年生から書記と会計を募集しています。興味のある方は是非、三階生徒会室まで。——』
私は後ろの方の席だったから顔はよく見えなかったけれど、女子が黄色く悲鳴をあげていたのはよく覚えている。から、かっこいいひとなんだろうなと安易に予想できた。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.13 )
- 日時: 2015/01/04 17:30
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: J85uaMhP)
「そいうえば。挨拶してた生徒会長、凄い人気だったね」
光汰にいも同じこと思ってたのか。
こくりと浅く頷く。
「凄い悲鳴だったね。私あんな高い声出ないよ」
「てめえが出したらキモいわ」
「篤にいは黙ってろよ」
出せねえって言ってんだろうが。
私元々声低いんだよ。
きっと睨み付ける。
「でもさあ、生徒会とかめんどくさいよね。よくやる気になったよね」
篤にいとの会話がめんどくさくて光汰にいに話題をふった。
「あー……人望とかあるんじゃない。きゃーきゃー言われてたし、推薦で決まったのかも」
あぁ、推薦……ね。
人望もあったかもしれないけど、どうせ自分以外なら誰でもいいんでしよ、みんな。
だから推薦なんて手段選んだんじゃないの。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.14 )
- 日時: 2015/01/04 17:31
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: J85uaMhP)
「人望で決まるならお前、生徒会になれるんじゃね?」
いやお前会話に入ってくるなよ。
そう思いながらも
「なんで」
と返す。あ、自分いつもより若干声低い。
「人望とかそういうののためにお前演じてんじゃなかったのかよ?」
頭の上にハテナマークをたくさん浮かべて篤にいは言った。
あー……。
「うん、そうなんだけどさ。私一年だし今回おとなしめで行くし。選ばれないんじゃないかな」
私元々人前でしゃべるの嫌いだし。ていうか無理だし。
放送委員会になったときは死ぬかと思ったよね、緊張で。
「一年なのは関係ないだろ。一年からも募集するっつってたのに」
「あーあー私知らないなー」
てかさっきから私選ばれないよって何回も言ってんじゃん。
苛立ちを感じながら、ミラーで篤にいを見た。
——篤にいの予言が当たるなんて。
「篤にいは生徒会とか選ばれないタイプでしょ」
「なっ……!? なんで……」
「不良っぽいもん」
このときの私は微塵も思っていなかつた。