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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.45 )
- 日時: 2015/08/08 15:26
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: pUqzJmkp)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
生徒会室に戻る頃には、すっかり外がオレンジ色になっていた。
今は五時。下校時刻が六時だから……
まあ、六時っていうのは部活をしている人のことだけど。
生徒会は部活っていう扱いになるのかな。
「お疲れ様ー、ハルちゃんとあずちゃん。はい、お茶」
「ありがとうございます……」
あ、あずちゃんってナニ。
可愛らしい笑顔の英先輩。
先輩っていうより、見た目的に後輩みたいな感じがする。
コップで出された緑茶をずずずと飲み
「意外と疲れました」
と正直な感想を言った。
「凄いんだよー、梓ちゃん。男子が凄い群がってた」
「へえ、やっぱりモテるんだな、梓ちゃんは」
いやいやそんなことないです……と、朔さんに対して謙遜をしていると、
「またまたー」
と主婦みたいなことを言われた。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.46 )
- 日時: 2015/09/14 16:33
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 4V2YWQBF)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
「かわいーしやさしーし、そりゃモテるでしょーね」
「朔先輩だって……モテるんじゃないですか?」
言いながら生徒会長を見た。
ね、寝てる……。そりゃ静かなわけだわ。
「俺は別にかな。追われるの好きじゃないしね。それよか、俺は自分のことより一年二人が気になるなー」
完全に油断してたらしい凌くんは、え、と呟いた。
そういえば私と遥先輩がいない時みんなは何を話してたんだろ。想像つかないな。
「俺はなんにもっすよ。悲しいくらいに」
「同じクラスの女子代表として梓選手、どうぞ?」
「凌くんはモテますね。女子が毎日きゃあきゃあ言ってますよー」
「だ、そうですが?」
英先輩と遥先輩は会話には入って来ないでにこにこしていた。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.47 )
- 日時: 2015/09/14 16:40
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 4V2YWQBF)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
「な……ま、黛さんだって、男子がいつもきゃーきゃー言ってんじゃん」
いや男子はきゃーきゃー言わねえよさすがに。
ツッコもうと思ったけどやめた。
「なんか、その言い方だとお互い無関心って見えるねえ」
「そうですか?」
朔先輩も湯飲みを持ってお茶を飲んだ。
「私はそんなこともないですよ。凌くん、副委員長としてしっかりしてますしね」
「そういえば、……俺的に梓ちゃんが委員長になると思ってたんだけど、どうして?」
どうしてって言われても……ていうかなんでそんなこと思ってたんだ。ストーカーか。
「別に……そんな大した理由ではありません。私は委員長っていう器じゃないんで」
「またまた〜」
またまた〜ってまた言われた。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.48 )
- 日時: 2015/09/14 16:52
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 4V2YWQBF)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
「本当は生徒会って各クラスの委員長と副委員長から選出するって決まりなんだけどね」
あっ、まじかあっぶねえぇ……って今一瞬思ったけどよく考えたら私委員長でもないのに生徒会じゃねえか。
なんで——
「梓ちゃんが良くて俺、校長に頭下げちゃった」
——余計なことを!
「それは光栄です」
とかにこにこしちゃってみるけどなんかもう複雑すぎて……複雑だ。
「でも……なんで私なんですか?」
「俺が梓ちゃんにホレちゃったから」
「なんで私なんですか?」
手厳しいな、と頭を軽く振りながら呟く朔先輩。
なんだこの人軽そうだな。チャラ男か?
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.49 )
- 日時: 2015/09/14 16:57
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 4V2YWQBF)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
「見ての通り、生徒会って男ばっかじゃん? この状態を見た校長先生に『せめて女子一人だけでも』って言われちゃってさ。
だから」
いや理由になってねえっつーの。
なんで私が選ばれたんだよ。
「それでさ、俺らって自慢じゃないけどモテるんだよね」
視界の端で凌くんのこめかみがぴくりと動いた。
拳をぎゅっと握っている。殴るのだけはやめなよ。
「だから女子がきゃーきゃーうるさいんだよね。だったらきゃーきゃー言わなくてかつ可愛い女子がいいねーってみんなで言ってたんだ。
そしたらこんな女子がいたじゃん? 頭良くて可愛くて優しそうで」
そんなに褒め倒して……私に何を求めるというの……。
「ということで梓ちゃんが選ばれましたー」
「……た、例えば私が可愛かったとして、きゃーきゃー言う女子かもしれませんよ?」
「お前の無関心さはステージの上から丸見えなんだよ」
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.50 )
- 日時: 2015/09/14 17:00
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 4V2YWQBF)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
突然した低い声にひびる。
な、なんだ生徒会長か……!!
悪霊かと。
くあ、とあくびをして私を見た。
「お前入学式の俺の挨拶であくびしただろ」
そんなの一々覚えてませんて。
「あー、そうだったねえ。梓ちゃんをご指名したのはヒロちゃんだったねえ」
英先輩が言った。そのあとにずぞぞぞぞぞとお茶をすする。
……雰囲気ブチ壊しか。
「黛さん……そんなことしてたの」
凌くんに視線で『覚えてない』と伝える。
伝わったかは謎だ。
「だから俺はお前にした。お前がいいと思った」
「ひゃー会長がいつになく積極的だ〜」
あくびをしただけで選ぶなんて……。
全校女子にあくびが流行るよ。
てか流行れ。流行ってしまえ。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.51 )
- 日時: 2015/10/11 16:12
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 9ihy0/Vy)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
「凌くんだってだよ」
「俺すか?」
遥先輩の言葉に凌くんは嫌そうに言った。
顔が若干ひきつっている。愛利に見せたらなんて言うだろう。
そういえば愛利、部活はどうするんだろう。
あの子私しか友達がいないから……まったくもう……。
「同族っていうのはなんとなくわかるんだよねー」
「ど、……同族?」
「あー、わかんないならこの話はおいといて。凌くんも頭いいんだってね。校長からきいたよ。
確か入試は二位だったけ? 成績」
「ああ……そうらしいですね」
特に興味なさそうに言う。
確かに自分の順位なんてどうでもいいよね。私だってそうだもん。
進学できれば、それだけで——。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.52 )
- 日時: 2015/10/11 16:27
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 9ihy0/Vy)
- 参照: episode3:私の無関心さが祟った
「まあ、仲良くしよーね」
ぱちん、朔先輩がウインクをした。
「強制的に生徒会に入れちゃったのは悪いなって思ってるよ」
いやいやそれは嘘だろ遥先輩。
後ろに黒いオーラがただよってるよ。
「このメンバー結構楽しいし、充実した生活が送れると思うよ」
にこにこしながらポットのお湯を急須に入れる英先輩。
「……まあ、仲良くな」
幾分か軽くなった表情の生徒会長。
「……腹括ろうぜ、黛さん」
嫌々といった感じの凌くん。
「……は、い。よろしくお願いします」
そして、思わず何かしらの暴言を吐きそうになったが寸前で踏みとどまった私。
こうして私の苦悩な日々は始まったのだった——。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.53 )
- 日時: 2015/10/11 16:33
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 9ihy0/Vy)
- 参照: episode4:苦悩の始まりin黛家
「ただいまー」
ぱたんと中々センスのいい玄関扉を閉める。
「あ、あず! おかえりなさい」
ぱたぱたと、エプロンで手を拭きながらこちらに走ってくるお母さん。
そういえば今日は早くに帰ってくるって行ってたな。
「ただいま、お母さん」
胡麻油のにおいがし、今日はチャーハンかなと予想する。
「コウくん帰って来ててね、晩御飯手伝っててくれてるの」
「ああ、車あったね。さっすが光汰にい」
陸上自衛隊に所属している光汰にいは、ここから車で約一時間半のところにある駐屯地の寮で生活をしている。
それだからたまにしか帰って来ない光汰にい。
有給もあまり使わないみたいだ。
まあでも、一年前くらいに車の免許を取ってからは運転が楽しいらしく月に一、二度は帰ってくるようになったけどね。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.54 )
- 日時: 2015/11/02 18:55
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: 9ihy0/Vy)
- 参照: episode4:苦悩の始まりin黛家
高校を卒業してすぐに就職したから寂しいけど……まあ、篤にいとかいうやつもいるし。
「篤にいは帰って来てる?」
「うん」
あまり履きなれないローファーを脱いで家に上がる。
何かを炒める音がきこえて、やっぱりチャーハンかなと思った。
「おかえり、梓」
「おかえりー」
「ただいま」
階段を上がりつつ兄ズに言った。
二階に上がると光汰にいと、篤にいと、私の部屋がある。
『AZUSA』とお洒落な字体で書かれたプレートがかかっている部屋を開けると、一気に気が抜けた。
ああぁ……高校ってなんでこんなにめんどくさいの……?
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.55 )
- 日時: 2016/03/10 21:16
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: h4V7lSlN)
- 参照: episode4:苦悩の始まりin黛家
ベッドにねっころがりたい気持ちを、光汰にいが夕飯を作っているからと抑えて部屋着に着替えた。
といってもワンピースだけどね。
光汰にいの作るご飯はおいしいんだよな。
いつもは私が作るんだけど、光汰にいが帰って来てるときは気を利かせて作ってくれる。
素直に嬉しい。
篤にいも見習えよほんとって思うけど。
「ご飯できたよー」
「あっ、はーい」
ここでは素の自分が晒けだせる。
それが凄く安心できて、思わず返事の声が弾んだ。
階下に行くと大皿にチャーハンが盛られていた。
「わ、すっごいおいしそー」
「ありがと。梓はどれくらいスープ飲む?」
「表面張力にならないくらい」
「おっけー」
まじでわかったのかよ。
- Re: 完璧美少女の苦悩 ( No.56 )
- 日時: 2016/03/10 21:22
- 名前: 浦上澪 ◆rEvr4ZSeHI (ID: h4V7lSlN)
- 参照: episode4:苦悩の始まりin黛家
皆が揃うとき、私の隣にはいつも篤にいが座る。
どっか行けとかは言わないでおいている。
スマホをいじる篤にい。
イラッ。んなことしてねぇで手伝えや。
「はい、どーぞ」
「ありがとう光汰にい!!」
光汰にいもお母さんも座る。
「いただきます」とみんなバラバラに言い、チャーハンを食べながらスープが冷めるのを待った。
————
「ただいまー」
「おかえりなさーい!」
晩ご飯を食べ終わり、みんなぐだぐだしていたとき、お父さんは帰ってきた。
それに素早く反応して玄関に行くお母さん。
ラブラブで恥ずかしい。まじやめて。
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