コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.81 )
- 日時: 2015/03/14 19:05
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
エミを見送っていたら、ぶっ倒れた真矢と気保理の姿が目に入った。
わわ、忘れてた!(忘れるんじゃなーい!by独楽林檎)
急いで会場へ、私は【大福】と【なたねきんとん】を手に入れた!
玄関を出て、真矢たちの口に押し込んだ!
「……(怒)」
妹さんの殺気が見えるように伝わるから、そろそろ実況をやめようっと。
真矢たちがむくっと起き上がる。
「おいしい……批評は後回し。先にコウと会うわよ、気保理!」
「御意!」
叫びながら、真矢たちは村咲家へと入っていった。
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.82 )
- 日時: 2015/03/15 20:21
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
「コウー!」
真矢たちの大きな叫びが聞こえてきた。
そして、たくさんの足音も。
「えっ、ま、真矢!?」
コウの叫びも。
「アオイー!助けてくれ!」
廊下をどたばたと走りながら、その3人が玄関に向かって走ってくる。
だから一応、静かにドアを開ける。
案の定、コウと真矢と気保理は外に飛び出して……
真矢 【300】
気保理 【300】
コウ 【500】
いや、叱られるから実況はやめよう!
それに、バトルとかしそうな雰囲気じゃないし。
ちなみに、真矢と気保理のHPが300ずつだったのは応急処置しかしてないから。
一方、ドタバタと転げまわりながら真矢たちは大通りの方へと近づいていく。
そこって車の通りが多いから……
「危ない!」
靴を履かずに飛び出して、真矢たちを大通りから遠ざけようとするのに。
ぐるぐると走ってて、もうすでにどっちがどっちを追いかけてるのか分からない!
いや、問題はそこじゃない。
「車にぶつかるって!」
何度も叫びながら1人ずつ捕まえようとするけど、コウは真矢たちから逃げなきゃならないからすぐに走り出して、真矢はもうコウを追いかけるのに夢中で捕まえられない、気保理はコウをというより真矢を追ってるから走り出すのが早い!
「うわあっ、このままじゃあ道路に突っ込むってばー!」
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.83 )
- 日時: 2015/03/16 21:00
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
焦っていると、妹さんが来た。
おっ、応戦してくれるのかな?
と、思っていたら。
青い何かと長い棒と長い紐を地面につけるだけで、去って行った……。
何、これ!?
何で、大通りと小さい道の間にこれをつけるの!?
疑問に思ったけど、今はそんな場合じゃない!
真矢たちを止めないと!
って、何度も捕まえようとしたんだけど。
やっぱ、無理!
私の体力、もうすぐなくなるよ……。
と、その時。
「よぉし!引けーっ!」
「「お〜っ!」」
掛け声が上がって、後ろ側からバサッ!と青いものが落ちてきた!
「「「「うわああぁぁぁっ!?」」」」
そして、4人ともども『それ』の下敷きに!
……でも、不思議と私は痛くなかった。
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.84 )
- 日時: 2015/03/17 17:43
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
「大丈夫か、アオイ……」
左から声がした。
……ん?
「あわわわわわわっ!?」
とっさに飛び退く。
いや、地面を這って遠くへ行った。
……コウから遠くへ。
何で私、コウに守られてたわけ!?
恋愛ものは書きたくないって独楽林檎が言ってたのに!←
「だれよーっ、こんなので私たちをなぎ倒したのーっ」
「真矢様も私もボロボロじゃないですかーっ」
真矢たちが暴れてる。
でも、これの犯人は誰?
と思って、青いものの端っこから顔を出す。
ぶら下がっている紐の向こうにいたのは……キンさんとギンさん。
しかも、村咲家の屋根に登っていて。
「へっ?」
この紐を引っ張って、私たちを大通りの反対に向けてなぎ倒したの?
何のために?
「おい、アオイ」
上から声が降ってきて、顔を上げる。
口調的にも、その人は間違いなく妹さんだ。
「何ですか……?」
ちょっと、疲れちゃった。
「もう少し頭を使え。コウに襲われかけただろーが」
お、襲われかけた!?
「守ってくれただけ……のはずです!」
「守るためにわざわざ抱くか?」
「は!?」
抱かれてた!?
すると妹さんはため息をついて、
「やっぱ、いい。あの2人(つまりキンとギン)を操作したのはあたしだ。すまなかったな」
「えっ!?」
妹さんが……謝った!?
「どうした?」
「いえ、なんでも……」
応えながら立ち上がって、ビニールシートをどけた。
すぐさま、真矢たちが出てくる。
「そうよ……どうせ、私たちは『いも誕』の引き立て役でしかないわよ……」
「真矢様、八つ当たりで裏の情報を引っ張り出すのはどうかと思われます!」
「いや……2回もひどい目に遭ったんだから、しょうがないんじゃないか?」
「そんなの私も同じです!」
ぶつくさ言い合いながら、争わずに3人とも村咲家へ入っていった。
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.85 )
- 日時: 2015/03/21 23:08
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
会場では、春宮さんが部屋を見回していた。
何かの予感がして、メモを取り出す。
「質素すぎる……黒い折り紙を鎖状に繋いで貼り付けるといい……」
予想的中!
「貼りつけは前日に……セロハンテープで……定規で擦るとうまくつく……」
なるほど。
「何故黒い折り紙のみなのかというと……寿司、天ぷらの盛り合わせ、ざる蕎麦、冷奴、湯豆腐、がんもどき、肉じゃが、すき焼き、赤飯、手巻き寿司、粕汁、魚の照り焼き、もんじゃ焼きのせいで多彩な色が出るから……」
だから、会場自体はモノクロの方がゴチャつかなくていいんだね。
「……一部に盛り上がった『ステージ』と呼べる部分があるといい……それは私が明日持ってくるから……」
そのステージはどこにあるの?
「……作る……」
「えぇっ!?」
春宮さん、ステージを作れるのか!
「それくらいなら、出来る……」
ちょっ、『それくらい』って!
料理の実践をやってもらわないとなのに!
「10×3×1mのステージなら、ピッタリ収まる……横の余白は1cm……」
細かい計算が飛んできたよ……算数はニガテ。
「料理は明日にする……今日はステージを木材で作る……」
計画を呟きながら、春宮さんは家から出た。
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.86 )
- 日時: 2015/03/22 14:59
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
それまで玄関で土を払っていた真矢たちは、春宮さんと入れ違いで入ってくる。
「さあ!ここからは私たちの練習よ、気保理!」
「はい!」
練習って、何をするつもりなんだろうか……
と思う前に、真矢と気保理は会場の奥へ移動。
あの巨大スピーカーを隅に置いて、マイクを取り出す。
まさか……!
「♪灯りをつけましょぼんぼりに〜
お花をあげましょ桃の花〜」
歌い始めたぁ!
「♪五人囃子の笛太鼓
今日は楽しいひな祭り」
気保理が歌うのって、最後の行だけなんだね……。
「♪お内裏様とお雛様
二人並んですまし顔
お嫁にいらした姉さまに」
「「♪よく似た官女の白い顔」」
まさかと思うけど、最後まで歌うつもり!?
「金のびょうぶに うつる灯を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか」
「「あかいお顔の 右大臣」」
「着物を着かe」
「ちょっとすとーっぷ!」
私が止めに入った。
「なによ、最後まで歌わせて頂戴!」
「真矢様も私も、BGMなしで頑張っているのよ!」
「頑張ってるのは分かるよ、分かるんだけど……」
そこに妹さんが入ってきて、
「音程が半音ずれてる」
そう、そう!
ちょっと高いんだよ、真矢たちの歌!
レ#レ#レ#ド#レ#レ#ソ#ミ ってなってるんだよ!
「しょうがないじゃないの、私たちは音t」
「真矢様!」
今、音痴って言おうとした!
気保理が止めたって、もう遅いよ!
「うぅ……気保理、撤収よ!」
「はい!」
命令を出して命令を聞いて(スピーカーを持って)、真矢たちも家から出た。
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.87 )
- 日時: 2015/03/24 21:01
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
「ものすごい精神力なんだな、アイツら」
話しかけられて振り向くと、そこにはサンドバッグ相手に木刀を振りかざしている妹さん。
それを見て私は、
「……」
黙り込むだけ。
「どうした?アオイ、熱でもあるのか?」
振り向いて私の額に手を当てようとする妹さん。
身長差のせいで、額に触れたのは中指の先端のみ。
あれっ?
「アオイ……背が伸びたか?」
いやいや、妹さんと最初に会ったのは3日前ですよ……と、言いたいのに。
違う。
本当に、3日で2cmは伸びた。
「……まあいいか。さっき超人野郎にアドバイスされたんだろ、黒い折り紙ならコレクションしている真っ最中だ、使うといい。ついてこい」
超人野郎ってまさか春宮さんのこと!?
意味不明だったけど妹さんが歩き始めたから、後ろについて歩く。
たどり着いたのは……
<暗黒地獄>
あるよ、こういう名前のジグソーパズル!
「ここは黒いもので埋め尽くされてる。狂うなよ」
「狂いません!」
開け放たれたドアの向こうには……黒の海。
見回しても黒。
下を向いても黒。
見上げても黒。
振り返っても……いや、部屋の外だから黒くないか。
「黒いだろ?」
ガクガクと頷く。
何から何まで黒い。
一応照明はあるけど……これを使っても、多分黒が余計引き立つ。
「ここで作業をする必要はない。狂ってる時間は、ない」
狂うの前提!?
「会場でやれ。はさみとのりは持ってくから」
「はーい」
「ハイは短く元気に爽やかに!」
「ハイっ!」
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.88 )
- 日時: 2015/03/27 00:15
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
勢いで答えたけどさ……。
「ここって、少し暗くありませんか?」
聞いたら妹さんはちらっとこっちを見て、
「暗いと思うか?」
ええ、黒いし陰ばっかりだし照明ないし、これ以上に暗いところは無いと思います!
「なら、これを使え」
そう言って手渡されたのは……懐中電灯。
これ、電球が青い。
「ブラックライトだ。この部屋で使うと『探し物以外が黒で無くなる』持ってけ」
それなら黒はどうなるのですか!?
「いいから行け」
部屋に押し入れられて、とっさにブラックライトの回路を繋げる。
すると、目の前で———
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.89 )
- 日時: 2015/04/04 00:03
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: xJkvVriN)
……『黒』がカラフルに光った!
へっ!?
「驚いたか?」
妹さんが部屋に入ってきた。
「驚きましたよ、そりゃもちろん!」
しかも、探し物……黒の折り紙は、黒いままだし。
どうなってるの!?
「さっき言ったとおり、お前が今持っているのはブラックライトだ」
「はい」
さっき、そう言ってたし。
「そして、これが『超人野郎』というあだなの理由の一つ」
人差し指をビシッとたてる妹さん。
「春宮千沙は、あたしたちが戦っている間にこの部屋のほとんどに蛍光塗料を塗った!」
えぇっ!?
「本当ですか!?」
「嘘だと思うか?」
「いや……」
違います、断じて。
「超人野郎の理由はもういくつかあるがな。ほら、早く黒紙の鎖を作れ」
妹さんにのりとハサミを渡されて、私は会場で黒い輪を繋げたものをいくつも作ったのだった。