コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.96 )
- 日時: 2015/04/11 00:49
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
ガチャッ、ゴンゴン!
の音の後に、
キィィィィィイ—————ン……
とあのうるさいヤツ!
すでに、分身した(!)春宮さん(1)が飲み物を配り終わっていて、次はお楽しみ会形式でパーティーを進めるんだけど……
これ、スピーカーの接続やりにくい!
「アオイ!あんたどれだけ下手なのよっ、私がやるから貸して!」
くうっ。
「真矢はこれ得意なの?」
言いながらスピーカーの入力線とコンセントにつなげた銅線を真矢に渡す。
「あたりまえでしょ!私たちが今まで何を頑張ってきたと思ってる……の!」
あっという間に線と線をつなげた真矢は、マイクを持ってステージに飛び乗った。
階段から登れよっ!
このセリフは喉の奥に押しとどめた。
で、ついに!
「今から、村咲楽美の第9歳お誕生日パーティーを始めます!」
始まったあああぁぁぁ!
何だかこれだけで感動してる。よくぞ生きてこの時まで来れたなぁって。←
少し涙目でステージを見ると、真矢の横にはプログラムを大きく印刷したのがあった。
『1始めの言葉 :山海真矢
2お楽しみビンゴ:風堅気保理
3食事 :村咲笑
4爆笑ネタ披露 :プラチナ
5その他色々 :青永葵
6終わりの言葉 :青永葵』
これ、「:」の横には主催者の名前があるはずなんだけど……
……え、
ええええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!?
「なんで終わりの言葉の主催者が私になってるんですか!?」
小声で妹さんに問う。
「は?パーティー係なんだから当たり前だろ?それくらいアドリブでつけろ」
えー……。
「考えられません……何を言えば……」
「大丈夫だろ、舞台に上がったらパッと浮かんでくるから」
焦っている間に、次のイベントが始まる。
「プログラム2番、お楽しみビンゴです。気保理!」
「はい!」
返事をした気保理は真矢同様ステージに飛び乗る。
お願いだから階段からゆっくり登ってよ、考える時間が減ってしまう……。
「ビンゴの用紙は会場入り口でお渡ししたプログラムに記載されています。まずはルール説明をします!」
プログラムもらってないよ!
春宮さん(2)にもらってこないと!
「春宮さん!プログラム頂戴!」
「……これ……」
と言って手渡されたときには、もうすでに4つの数字が出ていた。
「あわわっ」
プログラムに付属していた小さくて軽いペンで数字に丸を付ける。
「10は……ここ、15は……ここ、5は……ここ、25はここ……いきなりリーチ!」
このビンゴ、普通とは少し違う。
もちろん数字は5×5で並んでて消す数字は箱から取り出してランダムで出てくるんだけど。
その数字が、1〜25のどれかだけっ!
そして、私のはどうして曜日が5つのカレンダーよろしく数字がきれいに並んでるわけ!?
疑問に思っている間にも、どんどん数字は出てくる。
で、前にある大きな紙に書き込まれていって。
『8 24 3 4 12』
出てくる数字全てが持っている紙に当てはまったことなんて今までに一回も無かったから、凄く気持ちいい。
『14 18 22 1 7』
1が出たことで、またもやリーチ!
となったところで。
「ビンゴ、なったぞ!」
コウが立ち上がった。
確認のために気保理がコウのカードを見るから、少しの間ビンゴが中断される。
よしっ!今のうちに終わりの言葉を……。
「OK!コウが最初のビンゴです!」
ざわっ、と拍手が起こる。
とは言っても7人分……じゃないっ、春宮さんが5人いるから11人分!
「じゃあ、コウ、景品の中から一つを選んでください」
景品は合計で5つある。
小説「雪の降る学校」、漫画「7つのビー玉」、図書カード1000円分、野球グローブ、三色スミレの植木鉢。
そして「7つのビー玉」は少女向けだから、コウが選ぶとしたら野球セットかな……と思っていたら。
「じゃあ、スミレ」
なんでスミレを選ぶんだ!?
「はいっ、拍手!おめでとうございます!」
大きめの袋に入れられて、コウに渡される三色スミレ。
コウは受け取ってからステージを降りて、私がいる会場の出口付近に移動して。
「コウの奴、いよいよやるんかいな?」
「知れへんわ。とにかく見ものやで」
やるって何を……
見ものって何を見る気で……
そんな疑問は、コウの次の一言で……もっと増えた。
「ほい。やるよ、三色スミレ」
そう言いながらスミレを差し出すコウ。
「いいの?」
私、まだビンゴなってないよ?
ていうか、どうして私に渡すの?
「よくなかったら、渡してねぇよ」
そう言われたら、受け取るしかないでしょ?
「ありがとう」
言って、紙袋を受け取る。
それを見た妹さんとキンさんとギンさんは。
「あれって気づいてるか?」
「気づいてへんのとちゃう?」
「兄貴が分かりやすい矢印出しとんのに……俺、同情してまうわ……」
どういう意味なのか、全く分からないのは私だけ?
「……おう」
とだけ言って、コウはもとの位置まで戻った。
その顔が真っ赤に見えたのも、私だけ?
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.97 )
- 日時: 2015/04/11 01:22
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
ビンゴはまだ終わっていない。
『9 16 17』
と、再開して3つ目で!
「ビンゴだ!」
妹さんが手をあげた。
確認のため、さっきと同じようにビンゴが中断される。
よしっ!今のうちに終わりの言葉を……と思った途端に、
「はーい、ラミがビンゴでーす」
早いって!
すぐに妹さんは「7つのビー玉」を持って元の場所に戻る。
速いって!
またビンゴは動きだす。
『11』
と、1文字でただけで!
「おっ、ビンゴやで!」
「いや、俺がな!?」
ギンさんが挙手。
ビンゴが中断されて、私がプログラムのところに『い』と書いた時点で、またもやっ!
「はい、ギンがビンゴです!」
早いって!
次に妹さんが叫んだ。
「会場をもっとよく見ろ!もう一人いるだろーが、手を挙げてる人間が!」
それをきっかけに会場を見回すと、唯一お客さんとして出席している春宮さん(3)が手を挙げていた。
おぉっ、それならその確認の間に……って春宮さん(3)、ステージまで歩くことに瞬間移動を使わないでよっ!
これを書ける時間が短くなるから!
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.98 )
- 日時: 2015/04/11 22:47
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
すぐにビンゴの知らせがあって、ギンさんは野球グローブを、春宮さん(3)は図書カードを取って元の位置に戻る。
って、景品があと「雪の降る学校」しかないじゃん!
私だって今6リーチなのに!
次に私がビンゴになる確率は85%以上なのに!
『21』
どうして残りの約14%が出てくるの!?
……うん、そして、この確率は他の人も同じだったらしく。
「ビンゴやでー!」
「あぁっ!ビンゴだよぉ」
残りの二人(春宮さん(1&2)と真矢と気保理はスタッフとしてビンゴには参加せず)が挙手!
えーっ!
そうだ、二人分なら確認も遅れるはず!
と思ったのにっ、のにぃっ!
「私もやるわよ、のろま女のカード」
真矢が確認をやるって!
しかも『のろま女』!?
確かにそうだけど、エミ、凄い言われよう……。
「はいっ、キンがビンゴです!」
「はーい、エミもビンゴー」
真矢、ちゃんと『エミ』って言えるんじゃん!あたりまえだけど!
「……で、どーすんだ?」
妹さんの言葉で思い出す。
そうだった、景品あと一つしか残ってないよ?
妹さんと私と真矢と気保理で顔を見合わせていると。
「ああ、なら俺要らんわ。小説でしかも女子モンとか興味あれへんし」
おおっ、親切な人がいてくれててよかった!
「じゃあエミが『雪の降る学校』?全くもって似合わないぞ」
そこは我慢しましょう、妹さん!
結果的にはコウが(私が?)三色スミレを、妹さんが「7つのビー玉」を、ギンさんが野球グローブを、春宮さんが図書カードを、エミが「雪の降る学校」を手に入れて、ビンゴ大会は幕を閉じた。
次はお待ちかね、スタンディングビュッフェ!
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.99 )
- 日時: 2015/04/13 21:32
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
「今からぁ、えーっとぉ、えーっとぉ、すぅ、スタンディングビュッフェぇ?を始めまぁす!」
エミのマイペースな声が会場に響いて。
「おっしゃ!食うでっ!」
キンさんの声も会場に響いて。
「うるさいわよっ、そこのマイペース2人組!」
真矢、キンさんのコンビはギンさんだからね!?
「うるさいわ、真矢様に口ごたえするんじゃないわよ!」
気保理、口ごたえじゃないから!
「はぁいぃ!ルールをぉ、説明しまぁすぅ!」
エミが叫ぶ。
そのセリフ、正にタイムリー!
「時間はぁ、3時50分までぇ!でもぉ、3時40分くらいにぃ、食べるのを終わってくださぁい!」
「え、終わる時間って4モガァッ!」
後ろにいた春宮さん(1)に口を塞がれる。
背が高くて効果覿面……。
「間違ってない……とにかく話を続けてもらわないと……」
どういう意味よっ!?
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.100 )
- 日時: 2015/04/16 21:15
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
「それではぁ、食器を準備してくださいぃ!」
全員がランドセルに向かって歩いたから、結構荷物置き場が混雑した。
「用意できましたねぇ?それではぁ、スタンディングビュッフェぇ……開始ぃ!」
まだ準備終わってないよ!
マイペース過ぎるって!
と、思ったら。
「「「いただきます」」」
春宮さんが3人とも食べてるって!早いよ!速いよ!
「早えぇよ、そこの超人3人組!」
春宮さんを除くと最初に食器を取り出したのは妹さん。
早々とサザエの壺焼きを3つ皿に入れている。
そこで真矢と気保理が料理の乗った机に移動!
「ああもうっ、どうして和食ばかりなのよ!せめて素麺と饂飩は出しなさいよ!」
「真矢様も私も好きなのはイタリアンなのに!何で肉の1つもないのよ!」
肉は妹さんの大嫌物だよ、気保理!
そこで、男子組が取り出し終わった!
よしっ、これで私も取り出せる!
……と、思ったら。
エミが右から来た。
私のランドセルはエミのランドセルのすぐ右にある。
なんかすっごくもみくちゃになって、取り出しにくいよ!
頑張って取り出そうとしていたら、エミが先に料理の乗ったテーブルに移動した。
私は最後かよっ!
1人になったらもうすんなりと食器を取り出せて、ささっと一番残っていたもんじゃ焼きを取る。
で、食べてみて……
「おいしいっ!」
元々、粉物は嫌いなのに。
「当たり前だ。これを作ったのはあの超人野郎だぞ」
ああ……春宮さん、料理の作り方とかすごかったもんね。
今、詳しくは書かないけど。
「んで、その超人野郎はというと……」
……ものすごい勢いで食べてる。3人合わせても合わせなくても、ね。
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.101 )
- 日時: 2015/04/17 22:55
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
もんじゃ焼きを食べ終わって、ブリの照り焼きを取る。
これもおいしい!
それを食べ終わって、次の料理を取ろうとする。と。
「な……無いっ!?」
もうすでに、主菜全てが無くなってる!
そして、数の制限がある和菓子も、残量が9個……。
誰よっ、10個って制限したのに11個食べたのは!
「しかも残ってるのは最中だけ!?」
最中9個を一人で食べるって、なんて寂しい!
それでも、食べたいのは食べたいから……。
ポツンと取り残された気分で、最中を食べる私。哀しい。
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.102 )
- 日時: 2015/04/18 15:26
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
「やるよ」
そう言って、コウが私の皿に干し柿を置いてくれた。
「え?」
いいの?
「良くなかったら渡してねぇよ」
そこで妹さんとキンさんとギンさんが目配せをして、
「今度こそ気づくか?」
「いやぁ、気づけへんのとちゃう?」
頼むからどういう意味なのか教えて!
恨めしい思いを込めて妹さんたちをジトッと見ていたら、その人達は互いに目配せをして肩をすくめた。
もうっ!
- Re: 妹さんの誕生日 ( No.103 )
- 日時: 2015/04/25 21:03
- 名前: 独楽林檎 ◆tr.t4dJfuU (ID: vLlTyC08)
「はぁい、そろそろ片付けてくださぁい!」
その声が聞こえた時、私はもう食べ終わっていた。
時間ピッタリ!
「それではぁ、爆笑ネタ披露に移りまぁすぅ!」
おっ、いよいよだね!
「よっしゃ、行ったるで!」
「おう!パーティー盛り上げて今までの成果出したるんや!」
楽しみだね!