コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 春風〜千の想い〜 ( No.38 )
- 日時: 2015/02/04 14:11
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
51:電車
今日も生徒会室にたむろっている。千風は、生徒会室に入ってくるなり、こう言った。
「なんか人身事故あったみたいだよ。楓、大丈夫なの?」
「大丈夫。さっき調べたけど遅れてないみたいだから」
先ほどのSHRで担任がそう言っていたのを気にしていたらしい。千風は、そっか、と息をついて、また何か思い出したようにハッとする。
「ねえ、楓、電車で通学してるじゃん」
「う、うん…」
「その、あれ、…チカンとか、いないの?」
「!?」
楓は顔を青くして、何を言っているんだ…というオーラを醸し出す。すると、千春が言った。
「千風、それは笑顔で聞くことじゃない」
「何よ、気にならないの」
「気になるけど」
「でしょ!?」
結局、千春も気になるらしい。言ってどうというわけではないが、変なカップル、とは思う。そのとき、華織までもが口を出す。
「何? 楓くん、チカンにあってるの?」
「え!? なんで!?」
「あってそうだから。心配なの」
「わかる!! あってそう!」
空気の読めない男、翔が入ってくる。由莉も知りたーいと目を輝かせている。いったい何がしたいんだ…
「いつも俺の後ろに同じ人がついてくるけど、何もしてこないから別にチカンってわけじゃ…」
「え、それ怪しくない?」
「いつも一人で登校してるの?」
「ううん、修一が一緒。修一、その人にすごくガンつけてるよ」
沈黙。え、それって…
「それ、藤堂にめっちゃ感謝した方がいい」
「な、なんかされたことないの? 本当に?」
「あるっちゃあるけど騒ぐほどじゃ…」
「触られたの」
ダイレクトに千風が尋ねる。ちょっと心配になってきたようで、冷や汗が出ている。
「まあ、ね」
「どこらへんを」
「ぐいぐい聞くね…。ここらへん」
「!」
全員が声のない悲鳴を上げた。千風はさらに続ける。
「それ、藤堂くんは」
「見てたよ。顔真っ青にして俺の腕引っ張って、俺と位置入れ替えてくれた」
「おお、感謝した方がいいよ、それは…」
「え、ああいうのをチカンっていうの?」
「そうよ! 今は、大丈夫なの」
「時々やられる…」
「時間変えるべきよ」
全員、うわああと顔を青くする。やがて、翔が言った。
「楓、ちっこいし美人だからだよ」
「そうよそうよ」
千春もそうやって同意する。しかし、少し会話に飽きてきているようだった。次に由莉が、こう言った。
「それに女々しいしね」
「羽柴さんひどくない」
「チカンって、抵抗しなさそうな人とか、可愛い人を狙うんだよ」
「えー、どれも当てはまらな」
「楓はそのどちらにも当てはまるの!!」
「なんでそうなる!!」
楓が抗議するが、今度は彼女の華織が続ける。
「そうだよね、楓くん、女子力高いから…」
「そんなことないでしょ」
「そう? じゃあ女々しい…」
「華織ちゃん、それどっちも一緒」
楓が溜息をつく。そんなことないだろ…と思いつつ、下校時刻がせまっていたので、鞄を持つ。
「心配ね、私が家まで送っていこうかしら」
「橘さんはチカンが見たいだけでしょ…」
「は、何、何のことかしら?」
千風はノリノリだが、楓は全然そんなことはない。携帯を取り出し、番号を押す。
「何、彼女?」
「彼女そこにいるでしょ!? 違うよ、修一…あ、もしもし〜?」
電話しながら、楓は生徒会室を去っていく。そんな彼の後ろ姿を見ながら、華織が呟く。
「私、心配だなぁ…あとでメールしよ」
「そうね、私もしようかしら、ひひっ」
「!?」
…千風は、ノリノリである。
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ギャグがうまく書けない…