コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 春風〜千の想い〜【オリキャラ募集中!】 ( No.40 )
- 日時: 2015/02/06 22:47
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
53:文化祭
「文化祭?」
生徒会室で、今日は生徒会役員しかいない中、突如そんな議題が掲げられた。千春は、もうそんな時期だったか、と思う。この前に3年に上がったばかりなのに、もう1か月半は経ったということだ。
「そうよ。もう原案は作っておいたから、次の委員会にかけようと思ってるわ」
「ほおー…相変わらず仕事が早いな、桜木は」
「忽那くんが仕事しなさすぎなだけよ。遊んでないでやってよ」
そう言う彼女は桜木遥。生徒会役員で、とても真面目な性格。千春は彼女をとても信頼していて、基本頼りっきりだ。それでか、最近すごく怒られる。
「おう、悪い悪い。——で、文化祭がなんだって?」
「1,2組、3,4組、5,6組で組んで、それぞれ出し物をしてもらおうと思ってるのよ」
「いいなそれは。プリント作っとこうか」
「ええ、お願いするわ」
「了解ー。そういや、辰野はどうした」
「知らないわよ、あんなの。なんで生徒会にいるの」
「お前はホントに辰野が嫌いだな」
遥は海をこの上なく嫌っている。めんどくさい性格が彼女をそうさせているのだろうと千春は思っているけれど。千春も、海はとても苦手だ。
「とにかく、多分これで通るからプリントね」
「はいはい、じゃあ俺、もう帰るから」
「あっそ。どーせいつものチャラチャラした集まりのとこに行くんでしょ」
「チャラチャラってひでえな。まあそうだけど」
「まあいいわよ。また明日ね」
不機嫌そうな顔で遥はそう言ってパソコンに向かう。どこまでも真面目な奴め、と思いながら、千春は生徒会室を後にした。
1組の教室に戻ると、いつものメンバーが千春を待っていた。千風が遅い〜と言いながら千春にペンを投げつけた。
「うおお、あっぶね」
「辞書じゃないだけ心優しいじゃない」
「ひっでえ彼女。思ったより遅くなったのは悪いけど」
言いながら、資料を鞄にしまう。そして、他のメンツを見ると、何か変な遊びをしているようだった。あ、あれは…
「何やってんだ」
「うお、会長いつから戻って!?」
「さっきだよ。で、何やってんの、王様ゲームかよ」
「おお、よく知ってるねぇ、そうだよぉ。私が王様なう」
由莉がへへんと鼻を鳴らす。そのとき、下校時刻を示すチャイムが鳴った。
「もうこんな時間かよ、いいや、帰ろーぜ」
翔がそう言ったのを合図にして、みんな一斉に帰りの準備を始めた。
「そうそう、文化祭のことでさあ、みんな何したい?」
「んーこのメンバーで屋台回りたーい」
「あ、ごめん千風、そういうんじゃなくて」
そう言って、千春は教室を出る。みんな出てきたとき、彼は合同での出し物について説明した。
「はいはーい! 俺は劇!! げ、き!! 劇ィィィ!!」
「いいよ3回も言わなくても!」
「私も劇がいーいなぁー」
「私はなんでもいいわよ」
劇をやりたいそうな。1,2組全員に聞いたわけじゃないので、まだこれで決定ではないが。
「楓は何やりたいかなぁ、俺聞いとこー」
「華織ちゃんにも聞いとくねぇ」
楓と華織は今日は二人でお泊りなんだとか。それでみんなより先に帰ってしまっていた。ヒューヒューと古臭い冷やかしを翔がしていたのをみんな覚えている。
「うお、返信早い! 劇やりたいって。あ、榊さんはお風呂なうらしい」
「ほぼ決まりだな」
そう言っているうちに分かれ道に着いてしまった。ここでみんな別れるので、詳しい話はまた後日、ということとなった。
「ねえ、もし劇になってさ、ロミオとジュリエットとかになったら、どうする?」
「どうする、とは」
残りの道で、千春と千風はそんな会話をしていた。千風の頬は少し赤い。
「だから、一緒に、その…」
「何?」
「もう、察してよ!!」
「ああ、ロミオやりたいのか」
「違うわよ、逆よ!」
千風は真っ赤になってそう言った。千春も本当はわかっていたけれど、その反応が面白くて、いじめてみる。
「はいはい、ジュリエットやりたいのな、誰がロミオ、森野?」
「なんでよ、楓は彼女がいるじゃないの」
「なんで怒ってんだよ、自分で言えっつーの」
「だからね、その、私、は…」
千風はぶつぶつ何かを言った。ん、何聞こえないと千春が言ってみると、千風は大声で叫んだ。
「千春にやってほしいの!! ロミオを!! バカァ!!」
いつの間にか家の前に来ていた。千風は思い切り舌を出して、家に入ると大きな音を立てて扉を閉めた。千春はやれやれと思いつつ、隣の自分の家に入った。
(バカってなんだよ…)