コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 春風〜千の想い〜【オリキャラ募集中!】 ( No.41 )
- 日時: 2015/02/07 10:50
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
54:文化祭2
原案は無事委員会を通った。というわけで、2クラス合同の出し物について検討することになり、現在のLHRに至る。
「みんな何やりたいー?」
生徒会長である千春が司会となってみんなの意見を聞いていく。基本的にはなんでもいいという人が多く、決まんねーと頭を抱えていた。
「俺は劇やりたいィィィ!!」
「はいはい、翔のはもう聞いたから少し黙れ」
「はいはーい生徒会長〜、俺はメイドカフェやりたーい」
「男子の行く先がないだろうが」
さっきから男子ばかりが意見を言っている。女子は何がやりたいんだよ、と思っていると、由莉が手を挙げた。
「メイドカフェに一票」
「マジで? 男子はどうしろと」
「女装すればいいじゃん」
「はぁ!?」
千春をはじめとした男子が叫んだ。しかし由莉はノリノリだ。
「いいじゃんいいじゃん、面白いしぃ」
「高校最後の文化祭がそんななんて嫌だよ!」
「えー、似合うよぉ、特に楓とか女顔だし」
「嫌だよ、似合うわけないじゃん。ねえ、華織ちゃん」
「楓くんのメイド服、見たい…」
「…え」
意外にも、華織がノってきた。楓は絶望的な表情を浮かべて声を漏らす。
「え、華織ちゃん」
「絶対似合うもん…私すっごく見たい!!」
「嘘だろ…」
「却下、却下却下ああああ!!」
そんな千春の抗議も空しく、女子と、楓の女装に興味を持った男子の圧倒的な票を集め、それに決まった。
みんな結構やる気な中、千風はちょっと不満そうだ。
「千風、ロミジュリやりたいって言ってたもんなぁ。俺もカフェはやだよ」
「千春のロミオ、見たかったぁ…あ、でも」
「でも?」
「千春の女装が見られる〜♪」
「ぎゃ」
不満から一転、千風までノってきた。マジかよ…と思いつつも、千春はもう逃げ場がないことを知った。
「はは、マジで?」
近くのファミレスに男子3人で行ったとき、偶然にも修一に会った。そこで文化祭でメイドカフェをやることを話したのだ。男子もメイドをすることも込みで。
「面白ぇじゃん、俺行こぉー」
「え、来ないでよお願い」
「だって楓の女装見たいし」
「はは、キモい」
「うわ、きしょいに慣れたころにやってくるキモいはダメージが大きいぜ…」
修一はそれでも行くと宣言した。千春と翔は肩を落として、言う。
「森野はまあ、いいとして…」
「俺たちはさあ、本当に似合わねえから…」
「んなことねえだろ、頑張れよ」
「修一はもう、本当に他人事だと思って…あ」
そのとき、突然楓がふふっと笑った。どうした、と千春が言うと、彼はごにょごにょと耳打ちをする。
「え、何、俺にも教えろよ忽那」
「あのな、翔…、……、…って森野が」
「うお、やべえ面白ぇ」
「何、なんだよ」
修一が顔をしかめて尋ねると、千春が得意げに言った。
「他校枠を作って、そこにお前をって」
「え、それって…まさか」
「そのまさかだ」
「マジかよ、じゃあ俺行かねえ」
楓が思いついたのは、メイドをするのに他校枠を作って、そこで修一にも女装をしてもらおうじゃないか、というものだった。それだったら来てもいいよと言っているのだ。
「あれ、お前、楓の女装が見たいんじゃなかったのかよ?」
「そうだけどぉ…」
「じゃあ決まりだね! 修一、俺待ってるからね!」
ここまで爽やかに微笑まれると、修一は断れない。くっそぉ、と悔しがりながらも、楓のメイド姿が見られるなら、とキモいことを言いながら了承した。
「はああ、まさか俺まで巻き込まれるとは…」
「でも良かったな、これ聞かなかったら森野の女装も知らなかったんだぜ」
「それは思う」
「やめてよ、女装すんのは俺だけじゃないよ。もう、修一帰ろう」
「何、散々キモいこと言ったけど一緒に帰ってくれんの!」
「嫌ならいいもーん」
そう言って、楓は店を出て行ってしまった。次いで修一も。千春も鞄を持って立ち上がった。
「はーあ、俺も『もん』って言っても気持ち悪がられなくなりたい…」
「それは無理だな。オラ、帰っぞ」
「ああ…」
どんよりした面持ちで二人は店を後にする。文化祭、これは最後の最後で大波乱になりそうだ…そんなことを思いながら。