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- Re: 春風〜千の想い〜【オリキャラ・コメント募集中!】 ( No.48 )
- 日時: 2015/03/01 15:44
- 名前: Va*Chu (ID: vAYBtxw9)
56:文化祭4
メイド役の男子は、接客の指導を受けていた。———千風に。
「なんでお前がやるかなぁ」
「なんでじゃないわよ、いいじゃない、こういうの好きなのよ」
「何が!? 男の頭叩くのが!?」
千風は笑顔で翔の頭をバシバシと叩いている。もう片方にはマニュアル本があるので、一応は教えているつもりらしい。
「言っとくけど、合格は楓だけだからね?」
「あれ、俺合格なの」
「もじもじしてんのかわいいからいいの」
「ええ、なんかやだあ…」
楓がずうんと落ち込む。しかし女子は激しく頷いて、かわいいとはやし立てる。
「ほら千春、いらっしゃいませって言って」
「い、いらっしゃいませぇ…」
「もっと元気よく言いなさいよ、生徒会長のくせに情けないわね」
「いらしゃいませええ!! これでいいか、あぁ!?」
「生徒会長とは思えない口調ね、よくないわよ」
メイド服に身を包んだ千春は千風の指導に叫んでいた。うん、確かに生徒会長とは思えない乱暴な口調だ。客が寄ってくるわけがない。
「翔はもっと可愛く言ってよ」
「いらっしゃいませ♪」
「キモいけどアリね、これ」
「うわあ前半がなけりゃ素直に喜べたのに」
翔はもうノリノリになってきたので千風の指導に従っている。わりといい線をいっているようで、千風もうんうんと頷いている。
「やっばい、楓くん、似合いすぎている!」
「華織ちゃん、地味に傷つく」
「よいよ、よいよ!! お客さんが集まってくるよ!」
「華織ちゃんがやる方が集まると思うけど」
「…私がやったら意味ないよ? 特別感ないじゃん」
「あるでしょ」
華織は何か開けてしまったようで、彼氏のメイド姿に興奮を隠しきれていない。楓は少々疲れてきている。
「うおー、やってるねぇ」
「あ、由莉〜。似合ってるね、そのメイド服」
そうでしょ? と言って教室に入ってきた由莉がくるくると回ってみせる。確かにメイド服がよく似合っている。そのとき、千春がふと横を見ると、翔がぼうっとしている。その頬は、少し、赤い、ような…
「翔?」
「ふぇえっ!? ななななんだよ忽那!?」
「乗り換えるのはええ…」
「なんの話だよ!?」
千春はなんとなくわかった。翔、もう好きな人できたんだな。しかも相手がこんなに近くに。
「ほうほう、ようござんすなぁお客様」
「俺は客じゃねーよ忽那」
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「どうした急にノリノリになりやがって」
ご機嫌になった千春に、翔は若干引き気味だ。しかし千風は嬉しそうである。
「その調子よ、いいじゃない」
「だろ。俺もやればできんだよ」
「それでこそ生徒会長ね、普段からそんな志があればいいのに」
「あればなんだっていうんだよ」
「あれば私だってもっと好きになれたのに」
「えっ!? 俺、そんなに好かれてなかったのかよ!?」
千春が顔を青くして、千風に詰め寄る。もちろん千風は冗談だが、素直な千春は信じているようで、必死だ。
別のところでは、楓と華織が何かイチャイチャし、由莉と翔は何かしゃべっている。ああ、今日も立花高校は平和だ。
文化祭まで、あと1週間。
「え、マジで? 他校に親友いんの? 俺も俺も。今度紹介しろよ」
『馬鹿、言って男子だかんな』
「わかってらぁ。俺も紹介するから。明日ってどうよ?」
『多分大丈夫。じゃあいつものファミレスで』
「おk」