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Re: 過去 言うなれば孤独に咲く花 ( No.6 )
日時: 2015/01/29 01:24
名前: せいや (ID: iT5/uwFU)

五章
風前の灯火


ざわざわざわ


ちょっと。ちょっと。斗真君が大怪我したらしいわよ


なんでも凄い刃物傷らしいよ


こわいわね。


大丈夫なのかしら




おねいさんもお気の毒よね。






「はあ。はあ。阿国。。阿国はおるか?」

斗真が、斗真が



《なにけったいな、声出して
そんな大声ださんでも いてはりますよ。》


《あ。姉貴わりぃー。なんかあったらって
なんか、あっちゃってこのザマだは。あはは…》

「すまぬ。すまぬ…ウチの…ウチのせいで。」

《話は後で、聞きます。せやから、はよ家におはいり。》

「だ。大丈夫なのか。?斗真わ斗真わ」


《少し静かにしてもらえんやろうか。気が散ってまうは
せやな。外にでも行っててもらえんやろか?》

「すまぬ。」

ガチャ






まさか。ウチを追ってくるとは

そんなに邪魔されたくないのかの。。

あやつらは





あのそこのお嬢ちゃん

斗真君は大丈夫なのかい?

コレ。切り傷に効くって薬草

持って行ってあげておくれっ


「え?いいのか?貴重なんじゃないのか?」


いいの。いいの。斗真君にはいつも助けてもらってるし


あの子の笑顔が見れなくなるのは辛いからね。




そーじゃ
この、野菜ももっていっておくれ。

うちの所のお肉も持って行ってやってよ!



「みんな。。」


ここの人は。こんなに、暖かくて
だから斗真も暖かくて。。

それなのに、ウチは
ウチは何も警戒せんで。。
知らず知らずの内に 斗真を巻き込んでしまって。。




お嬢ちゃん。辛いのは分かる
でもホレ今は笑顔じゃ。

それを持って行って ビックリさしちゃれ!




「す。すまぬ!感謝するのじゃ。。」



ガチャ




「阿国 さっきはすまぬ。
静かにするから側にいさせてくまいか?
いや。
居たいのじゃ。だから。」


「え。 阿国 そなた どうしてそんな姿になって。。」


《あらあら。もう帰ってきてはったんですか。。
あんま見られたくなかったんやけど しゃーなし。
話しましょうか》


前に優姫ちゃん

言いはりましたよね?

どうして 斗真の所に居るのか

なにをさせる気なのかと


ウチは何も企んでおらんし

何をさせる気もあらへん。。

これは。ウチのウチなりの恩返しなんや


「恩…返し?」


せやぁ、、


江戸より遥か前から生きてるウチはな

いつの間にか 奉られる存在やったんよ。

占いをし。天災を教え

人の運命まで良く見たものや

自ら見たんやない

奉られる以上 それは避けては通れぬ運命だったんやろーな。


名前もその時 ついた名じゃ。

でも、ある時 偉い参拝者が来はって

いつも通り その人間の運命を見たんやよ

その結果は
病死


でも。ずっと素直に伝えてきたウチに嘘を言う思いつきは無く

本当の事を伝えた

それに怒った参拝者達は……


言わんでも、分かるやろ?






そうじゃ。







社の人ら皆殺し







そして、ウチは奉られる場所から

地に落ち

災いの元と仇なされるようなったわけや。


せやから。優姫ちゃん?
優姫ちゃんがウチを疑ったのも無理はないんやで。


江戸になる前の話やからな。



ウチは追われ追われて
生き延びてゆくのが精一杯やった。


静寂を求めもした。

せやかて 世はそんな甘いもんやなかった。



うちを捕らえ献上し
地位を求める人らが多すぎた。



そして ある時 はぐれの陰陽師が放った
1本の矢が ウチを貫いた

貫いたまでは、何とかなる

せやけど。陰陽師って言うのが仇になってもうたんよ。。

力はかなり封印され。
治癒能力もかなり封印されてしまった。


その時助けてくれたのが
先祖の真田家やった。

ウチは嘘を知らへん
せやから素直に話した

ウチは人間やない。
狐なんやって、

人に追われ ずっと生きていると


そうしたら何て言うたとおもう?







名前





名前はあるのかと




ウチは素直に答えた

社 阿国と

ほんなら次にこう言いはった



なんだ。人間と同じ名前があるんじゃないか。
それなら阿国。お前は人間として
真田家に来ればいい。



せやからウチはそれからずっと真田家につかえてはる。
真田家を守る為に




「そんな過去が。。すまぬ。。誤解しとったみたいじゃ、
阿国という存在を。。」

「でも、なんで運命が見えるのに、斗真を行かせたんじゃ?
見えていたなら…」


せやから。言ったやろ?

力はもう無いに等しいと。

まぁ。斗真の傷はもう大丈夫やから、

側に居てやり。


「阿国はどこに?」


うちは少し隠れなあかん。
こんな姿見せられんし

この姿なったら今はもうしばらく戻れへんしな。。

「わかった。あとはウチが見ておるから安心せぃ」



ほんにすまんね。










はぁ。はぁ。
使いすぎたみたいやね。
はぁ。はぁ


ウチも、もう長くは持たんやろーな

ははっ
それもウチの運命やったんかねー、

やだわあ