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Re: 桃乃吹雪〜キャッスル〜 ( No.1 )
日時: 2015/01/30 11:25
名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)

1.名のない姫君
ある王国に、新しい姫君が生まれました。
しかし、母親は、その子を産むと同時に死んでしまいました。
妻を亡くした衝撃で、父親である王様はおかしくなりました。
その影響で、生まれてきたばかりの自分の娘を忘れてしまいました。
妻と関わりがあるもの全てを、無かったものにしようとしたのです。
姫君は放っておかれ、名もつけられぬまま、召使いに育てられました。

王様は、すぐに自分の従姉妹を妻としました。
ところが、新しい妃は酷い人でした。
王子が生まれると、毒を盛り王様を殺してしまったのです。
妃は女王となりました。
そして女王は、疑惑を防ぐため、姫君を召使いから引き取り、育てます。
しかし、それは上辺だけのもの。
女王は、その召使いに大金を払い、このことを他言しないように、と言いました。

赤ん坊であったにも関わらず、美しかった姫君を女王は妬みました。
だから、名もつけず、姫君を、お城の一番高い塔に、閉じ込めて育てました。
それではかわいそうだ、と王国でたった1人の家老が言いました。
仕方なく、女王は、5歳の姫君に、5歳の騎士を付けました。
たった1人の、姫君の家来です。
しかし、騎士は幼かったので、何もできませんでした。
女王は、2人をこき使いました。
しかし、名が無いようでは呼びつけるのに困ります。
女王は、白い塔に住んでいる姫君に、「白の姫君」という呼び名をつけました。

…これは遠い国の、遠い昔の話です。