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Re: 桃乃吹雪〜キャッスル〜 ( No.2 )
日時: 2015/01/31 17:30
名前: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU (ID: nZYVVNWR)

2.世界は美しく、酷かった。
「ソウク、やっと、城の外に出られるかも。あんたも初めてじゃない?」
元気な少女の声。
ロデラート王国、王位継承順位第2位の姫君である。
長い黒髪がさらさらと真っ直ぐ流れ、肌は陶器のように白く透き通っている。
大きな緑の眼は、小さな顔にきちんとおさまっている。
「そうですね、白様。」
彼女を「白様」と呼ぶのは、姫君の唯一の家来である騎士のソウクという少年。
彼女とは幼なじみで同い年、15歳だ。
青髪に、青い眼。
切れ長の目は、姫を見ている。
今、彼は、普通の服装に剣を腰にさしている。
いつでも姫君を守れるように、だ。

「俺はチョコをたくさん食べたいです〜。」
「もう、わがままね!チョコ食べ過ぎると鼻血が出るわよ!」

「今日は、私の15の誕生日ね。絶対、女王様は許してくれるわよね、ソウク。」
姫君は急に哀しい声になった。
「たぶん、許可してくださると思います…。約束しましたから…。」
ソウクも、静かになった。