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Re: 藍色のrequiem(参照200感謝!) ( No.18 )
日時: 2015/02/14 18:36
名前: 美奈 (ID: Oh9/3OA.)

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そんなわけで僕は"雛さん"と呼んでいたが、やっぱり"Sue"の方が合いそうな人だった。
ハーフ顔のせいか、雛さんの顔立ちは美形のそれで、僕に会うと決まって英語でしか話してくれなかった。日本語で話しかけても、やっぱり英語が飛んで来た。
いつしか僕は雛さんへの抵抗を諦め、雛さんの"来日"に備えて祖母と英語を勉強した。6歳くらいの時には、もう普通に英会話できていたと思う。

雛さんは、年々英語が上達していく僕を褒めてくれた。しかしながら、褒め方を母親らしいと思ったことは一度もない。いつだって彼女は、"天才科学者"だった。でも僕は、雛さんに、年に三回も褒めてもらえるのが嬉しかった。

雛さんは、僕がどんなに研究内容を聞いても、曖昧に答えるだけだった。そしてこう言うだけだった。

「響也、科学者になろうなんて思わないでね。響也はちゃんとパートナーを探して結婚して、家族を支えてあげるのよ。…響也なら、それができるはずだから」

もちろん、このセリフも英語で言われたのだけれど、和訳するとこんな感じだった。
どんなに世界的な評価を受けるリケジョでも、自分の人生に多少の悔いはあるようだった。