コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 藍色のrequiem(参照400!) ( No.37 )
日時: 2015/02/24 11:36
名前: 美奈 (ID: AQILp0xC)

1-8
そう言われてしまうと、なんか申し訳ない気がして来た。
でも雛さんは、黙って僕の手の上にあった本を取り戻した。もっと申し訳なくなって来た。
ただ、雛さんは、でもね、と続けた。

「でもね、響也。この本、私読んでみたんだけど、すごくいいお話だったよ。アラサーの人が読んでも、そう感じた。私は、この本に勇気付けられたの。…ウソだと思うなら、読んでみな。まっ、無理に読まなくてもいいのよ。でも、置いて行くから」

そう言われて僕は、何故か悔しくなった。ほぼ完璧な、"天才科学者"としての人生を歩んで来た、雛さんの心に響いた本。
それは、どういう本なんだろう。

僕は、ありがとう、も言えずに、その本を読んだ。

…僕はたちまち、その本の虜になった。

この本との出会いが、本当の意味での、雛さんの人生の始まりだったのだと思う。