コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕にしなよ、先輩。 ( No.1 )
- 日時: 2015/02/08 22:09
- 名前: 凉那 ゆた ◆VoHZnMKTK2 (ID: QXFjKdBF)
■t h e i r s i n t r o d u c t i o n 1□
〜彼等の序章 1 早月 凜〜
○早月 凜のはじまり○
Ilove you.
but you love she.
she love he.
but he love me.
I also like you as you like she.
私は貴方のことが好き
でも貴方は、私の親友のことが好き
なのに、私の親友は
後輩の男の子のことが好き
______そして、その男の子は
私のことが好きだった
貴方があの子を想うように
私も貴方を想うのです
□episode 1
・00
「えっと……つまり、葵は。そいつのことが……好き、なの……?」
「んぅ……? そういうこと……だと思うんだ」
________私の中を、一瞬の焦燥が駈け抜ける。
虚空さえも散りゆく、水無月の紅い光明。
簡素な窓から覗く、桜の生え出て間もない萌葱の葉。
右から左へ抜ける虚色の風に靡く、色褪せた淡黄のカーテン。
妙に冷たい空気に身を潜めてしまった初夏の暖かさは、いったい何処に消えたのか。
そんな疑念さえ抱いてしまうような、6月の儚い夕方の教室。
「嘘………だよね?」
私はよく分からないような感情に駈られて、1人固まっていた。
身も世もないような失望、行く当てのない疑問。
次第に恍惚としていく周りの景色を呆然と見つめながら、頬を伝わるこそばゆい感覚を捉えた。
それは幾多もの筋となって、雫となって地に吸い込まれていく。
____________あれ、何で泣いてるんだろう?
次々と溢れ出る、私の心に入りきらなかった哀しみの感情。
止まることを知らない泪と、抑えることを忘れた私。
其れは、総てを無に変えた。
其れは、真を偽に変えた。
「そっか……。良かったじゃん、葵っ! ……おめ、でとう!」
必死に哀しみから振り絞って、ようやく紡ぎだした賛辞の言葉は、其の相手に届くことはない。
気がつくと、私は教室を飛び出していた。
「えっ?! 凜ちゃん?!」
_________親友の愕き声をその空虚に残してきた私は、狡いのかもしれない。