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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕にしなよ、先輩。【 500hit__Thank you!】 ( No.22 )
- 日時: 2015/03/23 17:51
- 名前: 涼那 ゆた ◆VoHZnMKTK2 (ID: nGb.G1Wf)
・02
「ねぇねぇ、凜ちゃんっ、聞いて聞いて! ……あたしね、今気になる人いるんだぁ」
______________はじまりは、ほんの数分前の出来事。
私、早月 凜(さつき りん)は親友の向坂 葵(むこうざか あおい)と共に、放課後の教室で細やかな談笑会を呈した、俗に言う「女子会」を催していた。
高めの斜光に空虚な風。6月の夕日は紅く、儚く、美しく煌く。空に浮かぶ雲さえも緋に染めるそれは、綺麗な彩光に満ちていた。
小さな机に散乱するスナック菓子の残骸が、時間の経過を物語る。あと時計が短針1周分の時を刻めば、この「女子会」が幕を開けてから2時間が経過したことになる。
1つの机を2人で囲む形で行われた今日の会も、静かに終盤を迎えようとしていた。
そんな中、葵が嬉しげに発した言葉に、私の身体は固まった。
「あ、そうだ! 凜ちゃん、あたしね、今気になる子がいるんだよねー」
私の親友、もとい向坂 葵は若干天然気質である。
そんな彼女のことだ、これもほんの冗談に違いない。
葵が本気で誰かに恋することなんてない____________最初は、そう信じて疑わなかった。
葵はその可愛らしい性格からか、異性同性構わず絶大な人気を誇っている。今月ももうすでに5人から告白されたらしい。
それも男子3人、女子2人からだというから驚いてしまう。
しかしそこはさすが葵と言ったところだろうか。全員に「ふぇ? どこに付き合うんですか?」の一言で断ってしまったらしい。無論、故意に断ったわけではない。
葵が誰に恋しようと、私は構わない。
_________________それが、本気の恋でなければ。
「へぇ、良かったじゃん。でも好きじゃないんだよね?」
葵は、あいつと結ばれなければいけないのだから。
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