コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 古本屋「パセリボーガー」コスモウッズ駅東口店 ( No.1 )
- 日時: 2015/02/15 21:23
- 名前: 野木山圭一 (ID: xOnerCAx)
第一話 後の掃除が大変だ
そこには、巨大なバドレーがいた。
「食いてえ」
バイトの新城進が、本の値札を付け替えながら、バドレーを見つめる。
「呑気だね新城くん!アレ、農場から逃げてきんだろうか…」
空気をも切り裂きそうな牙。理知的な印象を受ける、切れ長の瞳。筋肉質な脚線。灰色がかったピンク色の鬣、尻尾。まさに、立派な、これぞバドレーだと言わざるを得ないその姿。
それが、古本屋「パセリボーガー」コスモウッド駅東口店の前の住宅街を白昼堂々と闊歩していたのだった。
「危ないですよー!近づかないで下さーい!」
たまたま通りかかったパトロール中の警察官が、近くにいた一般人たちを誘導する。
「でけー!」「すっげー!」「ブサイクー!」
チャリに乗った小学生達、きゃっきゃきゃっきゃと興奮して口々に騒ぐ。
「凄いですねー!私、直接見るの初めてなんです!写真撮んなきゃ!」
バイトの塩谷萌花、きゃっきゃきゃっきゃと興奮してスマホを構える。
「もかりんも呑気だねえぇ!」
バイトリーダーの角田俊彦(彼女いない歴=年齢=29歳)が呆れたように、新城進芽と塩谷萌花を交互に見る。
「ツイートする前に通報しようよ」
「えーっと、ぴっぴっぴっと!」
OK。それにしても、実に立派なバドレーである。兵士たちは、あんな大きな大きな、道端で遭遇したらちびりそうな怪獣を乗りこなすというのだから驚きである。よく見ると、あのお巡りさんの股間が湿っているような…
「チョチョチョットオ!お巡りさんがなんか変なこと言ってるんだけどお!」
『2時 34分 を お知らせします』
「117じゃなくて110だっ!」
「てへぺろ!」
殺人的な天使の笑顔。そこそこある胸。これであとは健康で文化的な生活を送るうえで必要な一般常識さえ持ち合わせていれば、文句はないのだが。
「あいつに迂闊に近づくなよ、蹴られたら全治半月の大怪我だ」