コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.106 )
日時: 2015/03/26 09:16
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#51 充分



「ルーナ?」
 隣で、ブツブツと何かを呟くルーナに、声をかける。
「えっ? あ、ごめん……」
 そういって苦笑いを浮かべ、前を向いた。
「次はどこにいくの?」
 次かぁ……
 
 ——知夏の様に、俺のことを探してたり、すんのかな。

 ……俺があの時、猫を助けていなかったら?
 ……俺があの時、死んでいなかったら?
 ……知夏は、母さんは、傷付かないですんだだろうか?

 ——いや、違う。

 あの時俺が飛び込まなければ、あの猫は死んでいただろう。
 俺は魔法世界にトリップしただけで、死んではいない。
 一つの小さな命を、助けることが出来たんだ。

 だったら。
 自分を責める必要などないのではないか?
 俺みたいなただの人間が、一つの命を救えたならば。
 充分だろう。
 今、魔法世界でいきるだけで精一杯の俺に、他に何を望むと言う?

 ……会いてぇな。
 彼奴に。
 馬鹿みたいにお人好しで、馬鹿で。
 そんでもって、優しい彼奴に。

「——俺の、親友に会いに行くか」

 彼奴は、絶対に前向きに生きている。

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.107 )
日時: 2015/03/26 09:49
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#52 親友



「親友?」
 ルーナが聞き直し、首を傾げる。
「あぁ。中1で知り合ったんだが、意気投合してな。古谷裕也つうんだ」
 名前を言うと、ルーナがハッとこちらを向いた。
 そしてニヤリと笑う。
「あの風紀委員の子!? 知ってる知ってる、仲良かったんだー」
「おう……?」
 確かに裕也は風紀だったが……
 なんでコイツは知ってるんだ?

「そら会長だもん。委員会で知ったんだよ」

「心を読むな!!」
「口に出てた」
「え」
 何それ、超恥ずかしいんだけど。

 アパートの一室に着くと、インターホンを押す。
「はーい……て、紫苑じゃねぇか。久しぶりだな」
「そうだねぇ。上がっていい? この人も」
 そう言って俺を指さす。
 え、何。
 そんなに親しいの、お前ら。

「誰?」
「田中」
「何その普通すぎる名前!?」
 思わず突っ込む。
「あ。……すまん」
 謝ると、裕也は口を抑えていた手を離して、言った。
「ブフ……っ!! ヤベェ、田中お前、面白いな!!」

 ……そういえばコイツ、こういう奴だった。



「瑞希のことか?」
 ルーナが俺の話を聞けば、顔が曇った。
「彼奴は……」
 裕也は懐かしむ様に目を細める。

「馬鹿で、仲間思いで、気付いたらクラスの中心にいるような、そんな奴だった」

 目を見開く。
 俺がクラスの中心?
 んなわきゃねぇ。

「……だからかわかんねぇけど。みんな、ショック受けてた。……井上だって」

 ……!!
 悠まで……?

「でも、それで落ち込んでたりしたら、絶対に瑞希は怒るからよ。ちゃんと高校でもやってるさ」