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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.111 )
- 日時: 2015/03/27 17:44
- 名前: レム* (ID: sSv6cHIH)
#53 強い心と、弱い心
「彼奴とは3年も一緒にいんだ。考えてる事くらいわかる」
裕也はそう言って方を竦める。
そして、「それに」と言葉を続けた。
「俺は、彼奴が死んだなんて思ってねぇ。消えただぁ? んなことあるわけねぇ。彼奴の事だ。どうせすぐに現れるんだよ」
ニヤリと笑い、私の方を向いた。
「紫苑。お前意外と瑞希と長い付き合いみてぇだな? 死んだなんて、思ってねぇだろ」
口元は笑っていたが、目は笑っていない。
いつになく真剣で、真っ直ぐに私を見据えていた。
「どうだかね。私にわかることじゃないわ。……でもきっと、瑞希の大事な人が傷付きそうになったら、現れるんだろうね」
瑞希は、そういう人だと思う。
誰よりも仲間思いで、例え知らない人が死んだって、泣くんだろう。
人が好きで、笑いも好きで。
誰かを傷付ける事なんて、絶対に許さないだろう。
例えば私が傷付いたって。
こんな、生きていても生きていなくても変わらないような、そんな私が死んだって、瑞希は泣いてくれるのだろう。
それだけ優しくて、強い。
きっと強いから。
……強いから、瑞希は、相手を思うことができる。
どうしてこんなにも……
世界は不平等なのだろう。
力が強い人、弱い人。
心が強い人、弱い人。
きっと嫌いな物もあるだろうし、好きな物だってあるだろう。
苦手な物も、得意な物も。
——人間とは、そういう物だ。
傷付き、傷付け合う。
弱い者は死に、強いものは生きる。
戦争が終わったって、いつだって、人と人の間で、戦争が起きているんだ。
心同士で闘って、強い心は手を差しのべて。
弱い心は足掻き、自らの首を絞める。
——なんて、面倒くさい生き物だろう。
人間というのは。
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