コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.127 )
日時: 2015/05/03 17:51
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#60 無意識



「ていうか、無意識って?」
 無意識に人を半殺しにしちゃいけないかと。
「そのまんまだよ。ない? 無意識に喋ってたりとか、返事してたりとか」
「……まぁ、あるけど。でも、それとこれとは話が違——」
「同じだよ。結局、脳が命じれば、体は従うんだから」
 それを言ったらお仕舞いだろ。
 ちょっとは夢を見ろ。

「だから無意識って怖いよね。『殺したい』って感情を隠したって、見つけられちゃうもの」

 ……いやだから例え。
 怖いから、色々。
「冗談よ」
「嘘を吐け!!」
「……嘘よ」
「いや認めるな!!」
 結局本音なんじゃねぇか……

「…………だからお母さんも——」

「……え?」
「いや、なんでもない」
 お母さんって……
 ……まぁ無駄に首突っ込むと怒られるし。

「……お風呂入ってくるね」
「行ってらっしゃい」
 ルーナの顔はまだ暗く、何かを考え込んでいる様だった。



 ……お母さんは。
 私のお母さんは、盗を操る覚醒者、アリア=エイリーに殺された。
 ……まぁお母さんというか、お父さんもだけれど。

 彼女——アリアは、自分の意思で人を殺している訳ではないのだ。
 あれは彼女の意思ではない。
 私が憎しみを抱いているのは、彼女自身ではなく、彼女の“中身”だった。

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.128 )
日時: 2015/05/03 18:15
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#61 アリアとマリア



 アリアには昔、マリアという双子の妹がいた。
 二人はいつも行動を共にし、離れることはなかった。

 ——ある日。
 その日はどしゃぶりの雨で、じめじめとした一日だった。
 そしてそれは、アリアとマリアの、11回目の誕生日。
 二人は悪天候の中、外へと出掛けていったのだった——
 ……それは、アリアを悲痛な運命へと導く、酷く重い扉だったのだと。
 そんなことは、知るよしもなかった。

「……ねぇ、アリア?」
「何? マリー」
 アリアはマリアをマリーと呼んでいた。
 それは、不器用なアリアなりの、愛情表現でもあった。
「さっきから、足音が聞こえる気がするんだけど……」
 マリアは表情を曇らせ、アリアに言った。
「足音? 私達のじゃないの?」
「……違う。もっと、もっと重い」

 ——ヒタ、ヒタ、ヒタ。

「……ねぇ、私、嫌な予感がする」
「きっ、気のせいだよ!! ねっ、大丈夫!!」
「うん……」

 ——グチャ、グチャ、グチャ。
 雨でグショグショになった土を踏む音が。
 1、2 、3、4……

「……や、やっぱりおかしいよ。ねぇ、アリア……」
 マリアは振り向いた。
 しかしそこに、いたはずの片割れはいなかった。
「アリアっ!?」
 木の奥に見つけたのは。

「マリーっ!!」

 大柄の男に抱えられた、アリアの姿だった——