コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.131 )
- 日時: 2015/05/03 19:42
- 名前: レム* (ID: sSv6cHIH)
#62 捕まった
「くくくっ…………なんとも似た姉妹だな」
アリアを抱えた男は、愉快そうに笑った。
「貴方……アリアを離して!!」
マリアは血相を変え、叫ぶ。
「まぁそう焦るな。殺しはしない」
男は片方の眉を吊り上げ、舐めるようにマリアを見た。
「名乗るほどの名はないからな。黒いしクロとでも呼んでくれ」
男——クロはそう言うと、唇を舐めた。
「君も着いてこい」
◇
「……ここは……」
クロに離してもらったアリアは、マリアの手をぎゅっと強く握った。
そびえ立つ機械的な建物。
真っ白に染まったその建物は、妙なオーラを放っていた。
「ここは我らヴァンクリーンのアジトだ」
「……ヴァン、クリーン……?」
「あぁ、それについてはいずれわかるだろう。今は知らなくて良いことだ」
クロはそう言うと、二人を連れて中へと入っていった。
◇
ヴァンクリーンは、魔法世界で有名な『暗殺部隊』だった。
依頼された者、正体がバレてしまった者——
彼らに狙われた者は、誰一人生きて帰って来なかった。
アリアとマリアは、彼らの人体実験の実験台にされたのだ。
「A382、今日はお前だ。地下室へ来い」
『A382』
アリアはここで、そう呼ばれていた。
実験台の中で一番キツく、辛い実験をされるのがアリアだった。
そのせいで強い力も手に入れた。
それは、魔法世界でソウルと呼ばれる力だった。
アリアが持つのは、人工的に造られた『盗』。
この魔法世界最強——いや、最恐と言うべきか。
そんな力を持つアリアは、実験台達の中でも、恐れられていた。
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.132 )
- 日時: 2015/05/16 11:22
- 名前: レム* (ID: sSv6cHIH)
#63 片割れの
「アリア!!」
実験が終われば、マリアはすぐに駆けつけた。
怪我はないか、気持ち悪くないか、なんて、お前は母親かと言いたくなるほどにお節介。
「大丈夫だよ、マリー」
アリアは決まって、そう返すのだった。
◇
アリアは、日に日に力が増していった。
そして、ある日ついに——
暴走を始めた。
アリアはヴァンクリーンのアジトを荒らし、人々を殺していった。
実験台だった少女らは逃げた。
甲高い悲鳴をあげ、『助けて』と。
マリアは、必死でアリアを止めた。
しかし、何度『アリア』と呼んでも。
何度『やめて』と叫んでも。
アリアは聞く耳を持たなかった。
ただ狂い、本部を荒らした。
「アリア!! もうやめてっ!!」
「うるさい……うるさいうるさいうるさい!!」
やっと、アリアはそう叫んだ。
「“僕”はね、私を守らなきゃいけないの」
「……アリ、ア……?」
「僕に、君は必要ないんだよ、マ・リ・ア!!」
アリアは叫ぶと、手に持った矢で、マリアを突き刺した。
「ふふっ、自業自得だね!! 早く逃げれば良かったものを」
——やめて、マリーを……
————殺さないで!!————
「!!」
アリアが頭を押さえる。
小さく嗚咽を漏らし、うずくまる。
「あ……や……やめろ……あっ、うあああああああああああああああああああああ!!」
——僕は、ヒトゴロシ。