コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.131 )
日時: 2015/05/03 19:42
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#62 捕まった



「くくくっ…………なんとも似た姉妹だな」

 アリアを抱えた男は、愉快そうに笑った。
「貴方……アリアを離して!!」
 マリアは血相を変え、叫ぶ。
「まぁそう焦るな。殺しはしない」
 男は片方の眉を吊り上げ、舐めるようにマリアを見た。

「名乗るほどの名はないからな。黒いしクロとでも呼んでくれ」
 男——クロはそう言うと、唇を舐めた。
「君も着いてこい」



「……ここは……」
 クロに離してもらったアリアは、マリアの手をぎゅっと強く握った。

 そびえ立つ機械的な建物。
 真っ白に染まったその建物は、妙なオーラを放っていた。
「ここは我らヴァンクリーンのアジトだ」
「……ヴァン、クリーン……?」
「あぁ、それについてはいずれわかるだろう。今は知らなくて良いことだ」
 クロはそう言うと、二人を連れて中へと入っていった。



 ヴァンクリーンは、魔法世界で有名な『暗殺部隊』だった。
 依頼された者、正体がバレてしまった者——
 彼らに狙われた者は、誰一人生きて帰って来なかった。

 アリアとマリアは、彼らの人体実験の実験台にされたのだ。

「A382、今日はお前だ。地下室へ来い」

『A382』
 アリアはここで、そう呼ばれていた。
 実験台の中で一番キツく、辛い実験をされるのがアリアだった。
 そのせいで強い力も手に入れた。

 それは、魔法世界でソウルと呼ばれる力だった。
 アリアが持つのは、人工的に造られた『盗』。
 この魔法世界最強——いや、最恐と言うべきか。

 そんな力を持つアリアは、実験台達の中でも、恐れられていた。

Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.132 )
日時: 2015/05/16 11:22
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)

#63 片割れの


「アリア!!」
 実験が終われば、マリアはすぐに駆けつけた。

 怪我はないか、気持ち悪くないか、なんて、お前は母親かと言いたくなるほどにお節介。
「大丈夫だよ、マリー」
 アリアは決まって、そう返すのだった。



 アリアは、日に日に力が増していった。

 そして、ある日ついに——
 暴走を始めた。

 アリアはヴァンクリーンのアジトを荒らし、人々を殺していった。
 実験台だった少女らは逃げた。
 甲高い悲鳴をあげ、『助けて』と。

 マリアは、必死でアリアを止めた。

 しかし、何度『アリア』と呼んでも。
 何度『やめて』と叫んでも。
 アリアは聞く耳を持たなかった。

 ただ狂い、本部を荒らした。
「アリア!! もうやめてっ!!」

「うるさい……うるさいうるさいうるさい!!」

 やっと、アリアはそう叫んだ。
「“僕”はね、私を守らなきゃいけないの」
「……アリ、ア……?」
「僕に、君は必要ないんだよ、マ・リ・ア!!」

 アリアは叫ぶと、手に持った矢で、マリアを突き刺した。

「ふふっ、自業自得だね!! 早く逃げれば良かったものを」
 ——やめて、マリーを……

 ————殺さないで!!————

「!!」
 アリアが頭を押さえる。
 小さく嗚咽を漏らし、うずくまる。

「あ……や……やめろ……あっ、うあああああああああああああああああああああ!!」

 ——僕は、ヒトゴロシ。