コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 晴天の空【オリキャラ募集中!】 ( No.32 )
日時: 2015/02/14 18:34
名前: レム* (ID: xy9VqjvI)

#12 そろそろ



「……そろそろ、かな」
 真っ白な空間で、あたしは一人呟いた。
 まだ色付いていないこの“セカイ”に、外からの声が響く。
 ……迷惑をかけるかもしれない。
「何を悩んでるの? 草花らしくもない」
「風利……」
 水色に身を包んだ少女が姿を表した。
「ミズキの事よね? 宿ってたのアンタだったんだ」 
「うん……」
「で、『そろそろ』っていうのはどういう事?」
「あぁ、そろそろ目覚めるかなって」
「! ……ふうん、なんで?」
 一瞬驚いた顔をしたあと、何かを見据える様に顔を突き出して言う。
 言うか言わないか一瞬迷ったが、言わないと今すぐ風利に潰されてしまいそうだ。
「……多分、魔法世界に危機感を感じてるんだと思う。生と死の二択しかない、この世界に」
「なるほどねぇ」
 顎に手をあて、考える様な仕草をする。

「……そう言えば、ルーナちゃんかなり変わったよね。前はモンスター一匹気絶させることも出来なかったのに」
 風利はハッと顔をあげる。
 そして口を開いた。
「……ルーナは最近、無理して笑うんだ」
「無理?」
 私の声に「うん」と自嘲気味に笑う。
「無理して、仮面を貼り付けるんだ。そしていつも一人でなんでも抱え込んじゃう」
「……」
「あの子はきっと、他の人より色んな事を抱えすぎたんだよ。……でもね」
「ん?」
「彼奴……ミズキといる時、本当に心から笑ってた。だから思うんだ。ミズキならルーナを支えてくれるって」
「……うん」
 風利は大きく息を吐き、ニヤリと笑う。
 そして私にこう言った。
「それと、クヨクヨ悩んでるのは草花らしくないよ?」
「! うん、ありがとう……!」
 最近で一番の笑顔を、風利に向けた。

Re: 晴天の空【オリキャラ募集中!】 ( No.33 )
日時: 2015/02/14 19:37
名前: レム* (ID: xy9VqjvI)
参照: ※短いです!※

#13 決心しなければ



 ルーナの家のベッドで、俺はずっと悩んでいた。
 ——俺が、この世界にいる理由はなんだ? 
 ——俺がここにいて、出来ることはなんだ?
 なぜ?
 ……いくら考えても答えは出ず、ただひたすらに睡魔が襲ってくる。 



 気が付けば辺りは暗闇で、何も見えない。

——私の力が必要か?——

 突如、耳元で声がした。
 ……必要……?

——そうだ。今主は、私の力が必要か……?——

 ……必要、ねぇよ。
 自分で考える事だ。

——……そうか。では、必要になれば私の名を呼ぶがよい。私の名は……——

 え?
 今なんて言った?
 おい!
 おい……っ!



「ミズキ? 大丈夫? 魘されてたけど……」
 目を開くと、視界いっぱいにルーナの顔が映る。
「平気だ……」
「……そっか。じゃあ早く起きて! 今日も学校だよ?」
 それだけ言うと、ルーナは部屋を出ていった。
 ……夢の声は、なんだったのか……
 ていうか、ちゃんと最後まで言えよな……

Re: 晴天の空【オリキャラ募集中!】 ( No.34 )
日時: 2015/02/14 20:05
名前: レム* (ID: xy9VqjvI)
参照: ※短いです!※

#14 なんで



「んだよ、これ……」
 茜学園。
 教室の無残な姿に、俺は脱力感を覚えた。
「……ルーナ」
「エマ……これは、どういう事?」
 体育館裏から、エマが出てくる。
 どうやら、みんなそこに避難している様だ。
「わからない……いきなりゴブリンが200匹ほど、襲ってきたの」
「にひゃ……!?」
 俺は叫びそうになった。
 が、慌てて口を閉じる。
「な、んで……」
 ルーナが呟いた。
「まただ……また私は守れなかった……。今度は、みんなを……」
 唇を血が出るほど噛み、地面に崩れ落ちる。
「なんで? なんで、いつも私なの? ねぇ……ねぇ、誰か、答えてよ……っ!」
 ただ俺は、見守る事しか出来なかった。
 今起きている事に頭がついていかず、涙さえ出ることはなかった。

 ——俺は、無力だ。



 なんで? 
 いつも私の大切な物はなくなってしまう。
 小さい頃、お母さんに買ってもらったウサギのぬいぐるみ。
 大事な大事な、家族。
 今度は仲間さえも——

『この疫病神!!』
『お前なんか死んだって、誰も何も思わねぇよ。むしろ、喜ぶよ』
『アンタなんか死んじゃえ!』

「う、あ……」
 ——私は、イラナイコ?