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#24　危ない奴



「遅れてすみません！」
　教室のドアを開け、飛び込む。
「あぁ、ルーナか。さっさと席に着——」
「ルーナっ！　良かった……」
　先生が言い終わる前に、シスルが抱き付いてきた。
　……こんなに積極的だったっけ……?
「心配してたんだぞ。私も、ミズキも……」
「ん?　ミズキも?」
「あぁ。すごく不機嫌だった」
　少し、嬉しいとか思ったりして。
「転入したのB組だよね?　……エリンとかがいる」
「……あ」
　一瞬で、シスルの顔が青ざめる。
　……やっぱり、それほどヤバい奴か。

◇

「ミーズキ！　……と、エリン」
「っ！　ルーナ！」
「あれ、ルナ姉」
　やっぱいたか……
　ていうか一緒に行動って……
「いやぁ、相良君ってどんな趣味してるかルナ姉知ってる?　ねーえー」
「わかったから黙れ変態」
　……コイツが危ない理由。
　何を隠そう、只の変態だ。
「しかし相変わらずルナ姉は可愛いなぁ。胸もでか——へぶっ!?」
「だ、ま、ろ、う、か?」
　満面の笑みで言ってやる。
　だがそれも、コイツには意味がない。
　むしろ……

「もー！　ルナ姉は照れ屋さんだなぁ！　でも、この拳は愛の拳なのだぁ！」

　……喜ばせるだけである。
「いいから離れろマゾ女！」
「マゾ女?　いいね、なんかルナ姉が言うと褒め言葉に聞こえる！　もっと言って！」
「……」
　そういえばコイツ、罵られると喜ぶんだっけなぁ……
　もう気にしないで教室に行こう。
　……スルースキルが上がった瞬間である。