コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.62 )
- 日時: 2015/02/23 20:54
- 名前: レム* (ID: xy9VqjvI)
#27 絶たれた道
「彼奴だけは、絶対に許さない……っ」
村から離れた森。
ルーナは一人、呟いた。
彼奴……
盗のソウル、『盗哉』を操る少女——アリア=エイリー。
……そして、ルーナの両親を殺した張本人でもあった。
彼女は自らの力を使って、人々をいたぶり、殺している。
——それを、楽しんでいる。
その態度が、ルーナは許せなかった。
今朝、そのアリアが、再び現れた。
それを阻止する為、ルーナは峠へと向かった。
——フードを被って。
思いの外彼女は弱っており、ルーナは軽々と倒す事ができた。
怒りに狂っていたルーナだったが、「生きて償うべき」と、生かしておくことに。
だが、彼女は次に殺されない為に、峠の先——地球からの訪問者の入り口を塞いでしまったのだった。
「……ミズキを、元の世界に戻してあげられない、のか……」
彼の様な訪問者は、普通帰すのが義務である。
ただ、向こうの世界で死んでしまい、ここにトリップした場合。
それは、帰すと厄介になることを意味していた。
だがルーナは……
彼を、一度でも地球に帰してやりたいと、願っていた。
塞がれた道を開ける事は、上級魔法使いのルーナにとって、赤子の手を捻るほど容易い。
しかし一度塞がれた道を開くと、こちら側の異世界に、異変が起きてしまう。
それも……
魔法世界全体を巻き込む、大きな、異変が。
「——私は、無力だ」
その呟きは、『ゴォー』と鳴り響く風の音にかき消されたのか。
それとも、元から何も発していなかったのか——
誰にも、わからない。
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.63 )
- 日時: 2015/02/25 17:33
- 名前: レム* (ID: xy9VqjvI)
#28 あの日
「くっそぉ……っ」
少女——否、アリア=エイリーは、どくどくと流れ出る血を見て、唇を噛み締めた。
真っ赤に染まった服を破り、止血を試みる。
が——
「くっそ……っ! ルーナの奴、深く刺しやがった……」
意外にも傷が深く、血は溢れ出るばかり。
——こんなことになったのも、全て彼奴のせいだ……
◇
「やめろ……! やめてくれ……っ」
——今から8年前。
嘆く男と女を前に、アリアは不敵に笑った。
「んー……どーしよっかなー?」
……まるでその状況を、楽しんでいるかの様に。
顎に手を当て、「んー」と唸る。
そして、パッと顔を上げた。
「……決ーめたっ! ふふっ……助けてあーげないっ」
ニッコリと笑うと、彼女は武器である弓を構えた。
「盗の主が命ずる。氷の力を盗み、我が敵を……打て……っ!」
彼女の周りに氷の矢が集まったと思うと、瞬間にそれは男と女を攻撃した。
体に次々と突き刺さる。
——気付いた頃には、もうそれは、『ヒト』ではなかった。
そう。
ただの、赤い……『ナニカ』。
「お母さん! お父さん!」
向こうから、まだ幼い少女が駆けてきた。
あれは……
男達の、娘だろうか。
「お、とう、さん……?」
血にまみれていることに気が付いた様だった。
「ねぇ……お母さん! お父さん! ねぇ、どうしたの? ねぇ、返事してよ……ねぇ……っ!」
泣きじゃくり、男と女の体を揺する。
アリアは笑って、その少女を見ていた。
少女はそれに気付き、アリアを睨み付けた。
そして、こう言った。
「アンタだけは、絶対に許さない——」