コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.86 )
- 日時: 2015/03/02 17:55
- 名前: レム* (ID: xy9VqjvI)
#39 私も
「……さて、準備終わった?」
「あぁ。クレアはどうするんだ?」
クレアはベッドの端に座り、小さく「えっ」と声を上げた。
「どこか行っちゃうの?」
昨日の、挑戦的というか、きつい目とは違う、心配そうな目をしていた。
「うん。私達は帰らないと——」
「あたしも行く!」
ルーナが言い終わる前に、クレアは叫んだ。
普段動揺を見せないルーナでも、流石に驚いた様で、目を見開いていた。
「あたし町から出てみたいの。でも、お母様やお姉様が許してくれなくて……」
それは、姫の悩みだろうか。
いつも親は『忙しい』と相手にしてくれず、姉も同じ。
それで外にも出られない。
……最早、嫌がらせの域だな。
「だから、あたしを連れ出して!」
「それはいけねぇなぁ、じゃじゃ馬姫?」
俺はゆっくりクレアに近付き、言う。
「なんでよ! あたしの勝手でしょう!?」
「はぁ……だからお前はじゃじゃ馬なんだ」
わざとらしくため息をつくと、ニヤリと笑い、俺はこう言った。
「流石にお前を連れ出す訳にはいかない。だから。……俺が、説得に行ってやる」
もちろん、すぐにクレアに殴られたのだが。
「お母様を説得なんて、無理に決まって——」
「バァカ。そうやって決めつけてたら、いつまでたっても、今のまんまだ。それじゃ囚われの姫だな」
「んな……っ」
睨み付けるクレアの頭を、ポンポンと叩く。
「心配すんな。絶対俺がここから出してやる」
すると、顔を真っ赤にしたクレアがこう言った。
「期待なんかしてないから! ……でも、頑張りなさいよ」
——まぁ、最後は小さくて聞き取れなかったが。
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.87 )
- 日時: 2015/03/02 18:58
- 名前: レム* (ID: xy9VqjvI)
#40 囚われの姫
「……で、どうする?」
結局、少し時間をずらしたルーナ達。
ノープランということに、ため息しかないルーナだが、ここで一言。
「行くしかないでしょう? 他に何もないしね」
……正論である。
と、いうことで、宿屋を出発。
——囚われの姫、か……
彼女は、あの小さな体で、一体何を抱えているのだろうか?
ルーナの頭は疑問で溢れていた。
ルーナ自身、地球でいじめられ、化け物と罵られた立場であるが……
彼女の痛みとは、また違うものなのだろう。
ただルーナは、彼女の母親に、一言言いたかった。
「娘さんを見捨てないで。ずっと、一緒にいてあげて。絶対に——」
ルーナの願いはただそれだけだった。
例え、クレアが友達に罵られようとも。
姫だからと、差別を受けても。
その母親が、ずっと、ずっと、一緒にいてくれるなら。
きっと——
——ルーナは、いなかった。
支えてくれる人が。
両親は早くに他界。
肉親もおらず……
彼女は、孤独だったのだ。
「ルーナ?」
と、クレアがルーナの顔を除きこんだ。
「……ねぇ、クレア」
「うん?」
「……絶対、私達が着いてるからね」
もう二度と、誰かが傷付くところなんて、見たくない——
- Re: 晴天の空【オリキャラ等々募集中!】 ( No.88 )
- 日時: 2015/03/06 20:37
- 名前: レム* (ID: xy9VqjvI)
#41 強く。もっと、強く。
「……ねぇ、ルーナちゃん、大丈夫なの?」
「え……?」
草花の不安げな声に、風利は、すっとんきょうな声をあげた。
「ほら、すごい苦しそうな顔」
草花が指差したルーナは、青くなるほど唇を噛み締め、顔を歪めていた。
風利は、なぜ、彼女の様子に気付かなかったのだろうか?
……ルーナの表情を見た風利は、目を逸らした。
「うん」
「……風利? うんじゃ、ないよ」
「……うん」
ただ風利は頷くだけで、何も話さない。
——気が付きたくなかった。
ルーナが傷付いていることを。無理していることを。
……もう、見たくない。
自分の相棒が、最愛の人が、傷付いているところなんて、見たくなかった。
——強くなりたい。
こんな無力な自分が嫌だ。
醜い。憎い。嫌い。大嫌い。
もっと、強く。
例え、『化け物』と罵られようとも。
ルーナを守る、力が欲しい。
——約束、したから……