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#42　金持ちとか。



「……ルーナ?」
「ん?」
　俯き、じっと押し黙っているルーナに声をかけた。
　しかし返ってくるのはいつも通りの明るい声で。
　ただ心なしか、血色が悪い様に感じられた。

「……無理、すんなよ」

　頭にポンと手を置き、言った。
　一瞬キョトンとしたが、しばらくして「ん」と、短く返事が返ってきた。

　じゃじゃ馬は、さっきよりも表情が明るくなり、鼻歌を歌っている。
「よかったね、クレア」
「え?」
　ニコリと笑ったルーナに、クレアは疑問符を浮かべる。
　誤魔化すように苦笑いすると、「なんでもない」と前を向いた。

◇

「でか……」
　着いたのは、城下町よりも大きい、見上げれば首を痛めるほどの城だった。
「お前、こんなとこ住んでるのかよ……」
「?　ええ」
　恐ろしき金持ち。